「起業家に憧れているような人たちで、大丈夫なの?」

(上の写真は、Toki Commerceの優太が撮影)

ときがわカンパニー代表の関根です。

ときがわ町起業支援施設 iofficeは「ミニ起業家」の支援活動をしています。行政、金融機関、地域住民の方々等、多くの方に興味関心を持って頂けている分、さまざまなご意見を頂くことがあります。

最近ですと
「起業家に憧れているような人たちで、大丈夫なの?」
「すでに起業した人が、集まるコワーキングスペースにしたら?」といったお声を頂きました。

もしかすると同じようにご心配下さっている方もいるかもしれないので、私自身の考えを文章で発信したいと思います。

===

1.「起業家に憧れているような人たちで、大丈夫なの?」

「起業家に憧れるような人」が、ときがわ町に増えるのであれば、それこそiofficeが目指している状態です。

「仕事」というと「どこかに勤める」という発想が多い中、自ら仕事を創りだす「起業家」という存在に、憧れをもってもらえるなら、それは、若い人や子供達の選択肢を広げることにつながります。

「別に、都会に出なくてもいいんだ」
「会社とか、工場とかに勤めるのとは違う働き方があるんだ」
「起業っていうのも、そんなに特別なことじゃないんだ」と思ってもらえたら、嬉しいです。

それが、ときがわカンパニーのビジョンである「ときがわ町に、人が集まり、仕事が生まれる」という状態につながってくると思っています。

===

ちなみに、日本政策金融公庫総合研究所が出している『新規開業白書 2017年度版』に、次のような調査結果がありました。(白書を贈って下さった川越支店の山崎支店長、ありがとうございました)

「起業意識の分布」

(PDF版の資料 p3)

・起業家は、1.5%、起業関心層は、その約10倍にあたる14.3%。
・起業を増やすことが大きな政策課題となっている現在、多数存在する「起業関心層」をどうすれば起業家として顕在化させられるのかという視点が重要。(p83)

ときがわ町の「就業者総数」は、平成22年度の国勢調査では、6403人でした。仮に、このうちの約15%が「起業関心層」だとするならば、960人はいることになります。

その人たち全てが起業家にはならないと思いますが、こういう起業に関心を持ち「憧れ」を持ってくれている人達に、現実的な起業の方法論を提示していくのが、iofficeの役割なのではと考えています。

===

この白書に載っている別の調査「2016年度新規開業実態調査」では「開業に対する満足度」を聞いています。

・満足している開業者が圧倒的な多数派(69.0%)である(p27)

・新規開業を促進する第一歩は、開業に関心、興味をもつ人を増やすことだ。そのために「開業が自己実現の手段となりうること」をもっと世に周知してもよいのではないか。(中略)開業がやりがいをもたらすという事実を積極的に伝えるべきである。(p30)

・活躍している起業家と接した高校生は、みな希望に満ちた表情となる。なかには「将来、経営者になりたい」と発言する生徒もでてくる。(p30)

仮に、起業に興味、関心を持ったとしても、身近にそういう存在がいなければ「やっぱり、起業なんて無理。別世界の話。」と思ってしまうでしょう。

前述した公庫の調査でも、

・身近な起業家が「いない」とする割合は、起業「無関心層」は70.8%にのぼるのに対して、「起業関心層」は43.0%、起業家は28.4%である。身近な起業家として「両親」「その他の親戚」「友人・知人」をあげる割合は、いずれも起業家が他の類型よりも明らかに高い。(PDF版の資料 P4

とする結果が出ています。

やはり、身近に起業家がいると、起業に興味、関心をもつのです。

地元のときがわ町に、実際に起業して活動しているミニ起業家達がいれば、そして、そういうミニ起業家達も、最初は「憧れ」から入ったような存在であることを知れば(つまり、特別な人ではない)、それは、若い人や子供達にとっても、身近な参考例となることでしょう。

だからこそ「起業家に憧れるような人」たちが、集う場に、iofficeは、なれたらと願っています。

===

2.「すでに起業した人が、集まるコワーキングスペースにしたら?」

このタイプのコワーキングスペースは、都心部を中心にたくさん存在します。

●行政
 COCOオフィス@浦和
 スタートアップハブ@東京
  
●民間
 コワーキングスペース7F@大宮
 いいオフィス@上野
 パセラのコワーク@池袋(行ってみての感想

「他の人とは違うことを、違うやり方で行う」のが、起業家に必要な「差別化」ですので、他がやっているようなコワーキングスペースを、あえて、iofficeがやる必要はありません。

そのため、iofficeは、

・使える人は、限られたメンバーのみ(現在は、ときがわカンパニーの4名のみ)
・使える時間は、限られた時間のみ(11時30分~13時30分、16時~17時30分)
・使える設備は、机、椅子、本、ホットコーヒー、Wifiのみ。

と「ナイナイ尽くし」にしています。

その分、

・少ない「起業家候補」を重点的に支援して「ミニ起業家」として巣立たせる

ことに力点を置いています。

語弊があるかもしれませんが、普通のコワーキングスペースのように「浅く広く」起業家とつきあうのではなく「狭く深く濃く」ミニ起業家と付き合っていこうと考えています。

前述した「起業家に憧れているような人たちで、大丈夫なの?」の「大丈夫なの」は、「そういう人たちで、上手くいくのか、続けていけるのか」という心配でもあるでしょう。

その心配を払しょくするためにも、少数の限られたミニ起業家に、重点的に支援を行い、巣立っていけるようにしていくのが、私達の活動だと思っています。

(どうやってミニ起業家を育成していくのか?起業家育成の方法論

実際、ときがわ町の「まち・ひと・しごと創生総合戦略 p51」では、「新規起業者数」の目標を「3人」と少数にしています。(平成26年 0人 → 平成31年 3人)これは、現実的かつ達成可能な数字だと思いますし、それを手助けするのが、ときがわ町起業支援施設 ioffice の役割だと思っています。

===

以上、「起業家に憧れているような人たちで、大丈夫なの?」「すでに起業した人が、集まるコワーキングスペースにしたら?」というお声に対する私の考えを述べました。

これからも、なるべく文章で、自分の考えを発信していけたらと思っています。皆さんからの更なるご意見、ご質問等ありましたら教えて下さい。できる範囲でお答えしていきます。今後ともご支援ご協力のほどよろしくお願いします。

以下のボタンでシェアできます