ときがわ町 関口町長にお話を伺いました。

(上の写真は、玉川小学校。役場HPから転載)

ときがわカンパニー「ときがわ方式」拡販事業部の林です。

ときがわ方式の生みの親、ときがわ町の関口定男町長にお話を伺いました。

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-ときがわ町ではこれまで、公共施設の整備の際に地域産木材の利用を推進されてきました。その上で、民間へのときがわ産の木材(以下ときがわ材)の利用拡大についてのお考えを聞かせていただけますか。

関口町長: 平成22年の第174回通常国会において「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が成立し、同年10月に施行されましたが、まだ完全に浸透したとは言えません。ですからまずは公共施設での木材利用を率先することが大事だと思います。

-民間での利用拡大を進める際の障害は何だと思われますか。

関口町長:「木の建築は高コスト」と思われているのが一つ。鉄筋コンクリートの建築よりも木造の方が高価格という先入観があると思いますが、それは使い方次第です。例えば、特別な部材を極力使わず、一般流通している規格の製品を使うことを心がけることでも、費用はおさえられます。一定以上の広さの空間を設けるために柱と柱のスパンを長くしようとする際、大きな集成材を使用すると、どうしても建築費用が高くなる傾向にあります。

もう一つは、「木は火に弱い」というイメージ。確かに木は燃えますが、仮に着火した場合でも一定の燃焼が進むと炭化して、それ以上は燃えにくくなります。これに対して鉄骨はある程度までは燃えませんが、一定以上の熱が加わり続けると溶けて一気に崩壊してしまいます。木も鉄もどちらにも強みや弱みがあるので、強みを活かすことを考えるべきです。最近では木と鉄を組み合わせたハイブリッド工法も盛んにPRされているようですが、新たな木材利用の方法といえるでしょう。

-ときがわ町の小、中学校における内装木質化は、木の文化や環境を守ることに関心を持つ人材を育てる「木育」にも効果が大きいと思います。昨年からウッドスタートを導入し、木のおもちゃの配布も始まりましたが、この「木育」に対する思いはいかがでしょうか。

関口町長:私はもともと材木屋で、木そのものや木の建築の勉強をたくさんしてきましたから、木の良さを人一倍よく知っているつもりです。平成12年に玉川村の村長に就任した当時、木の持つ優れた特性で子どもたちの教育環境をより良く整備をしたいという思いで、校舎の「内装木質化」を行いました。当時は、校舎全体を内装木質化するというのは全国でも珍しいものでした。

こうして木造の保育園から小学校、中学校へと、子どもたちは幼い頃から木に囲まれた環境で過ごしています。町外の高校に進学した時、鉄筋コンクリートの教室を見て「木の良さ」をあらためて感じるのではないでしょうか。そんな体験をした子どもたちが、大人になって「木の良さ」を広めてくれる存在になれば、やがて民間の住宅などに木が使われるきっかけにつながると思います。

私は町長という立場はある意味、公立学校における「プロデューサー」だと思っています。プロデューサーとして、子どもたちのために校舎などをハード面で整備するから、先生方にはソフト面の教育をお願いね、というわけです(笑)。

-それなら、先生方は心強いですね(笑)

-ときがわ町は森林の面積が7割を占めていますが、今後の林業の可能性についてはどう思われますか。

関口町長:林業が廃れてしまう理由の1つに、「林業だけでは生活が成り立たないから」という現状があります。林業従事者の減少に対して、町では若手林業従事者を育成する「緑の雇用創出事業」を実施して、将来的な森の担い手づくりを進めています。木材利用の需要を喚起するためには、今後も引き続き国の支援が必要で、林業の効率化を図る機械化が重要です。

これまで通り建築資材としての用途はもちろん、例えば40年サイクルで木をエネルギとして積極的に使うことができる国になれば、日本は資源国になることができ、それが国の強靭化にもつながるでしょう。様々な観点での森林への理解を利用者が深めること、それが大事だと思います。

-内装木質化を軸にした木材利用の取り組みを拝見していると、もはやライフワークのようにも感じられます。

関口町長:私は材木屋に生まれ、その時からずっと木に関わってきました。これは運命であり、「一生、木に関わっていく」のが私の使命だと思っています。今後も大勢の方に木の良さを理解してもらえるような活動を続けていくつもりです。

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一生、木に関わるのが使命、という関口町長のお言葉に、とても感銘を受けました。われわれも町長の思いを胸に、ときがわ材の利用拡大に取り組んでいきたいと思います。

お忙しい中お時間をいただきどうもありがとうございました!

 

 

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