ときがわカンパニー代表の関根です。
前編では、10年間の起業支援 業務委託の経緯と実績を振り返りました。後編では「そもそも、なぜ起業支援を続けるのか」について、私の考えをお話しします。
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3.そもそも
何故、起業支援を行っているのか?
それは、「面白き未来」につながるからです。
どういうことか、3つに分けて、ご説明します。
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1)稼げる人
起業を支援するということは、1つの組織に属して働くことだけに頼るのではなく、自ら稼ぐ力を持つ人を増やしていくことだと思っています。
もちろん、会社や組織の中で役割を果たす働き方は、社会にとって欠かせません。
その一方で、収入源が1つだけだと、環境の変化に対して弱くなる面もあります。
それに対して、自ら顧客をつくり、複数の収入の柱を育てていくのが、「稼げる人」であるミニ起業家です。
そのためには、「顧客づくり・商品づくり・現金のこし」のやり方を知る必要があり、それを学ぶのが「比企起業大学」です。
稼げる人は、自ら「何をやるかを決め、決めたことをやる人」です。
私は、こうした「稼げる人」が、これからの地域にますます必要になると考えています。
この先、人口減少、少子高齢化、地球高温化、環境破壊など、さまざまな問題が重なっていきます。もし、そうした問題に対して「誰かが何とかしてくれるのを待つ」人ばかりだったら、未来はどうなってしまうのでしょうか。
それに対して、問題を事業機会として捉え、自らやることを決め、決めたことを実行するミニ起業家が増えたら、地域の未来はもっと面白くなるはずです。
幕末に高杉晋作が詠んだとされる「面白き ことも無き世を 面白く」。
私は、そんな「面白き未来」を形にしていける存在の一つが、ミニ起業家だと思っています。
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2)強みを発揮
稼げる人として、複数のお客様からお金を出してもらうには、そのミニ起業家は「強み」を発揮する必要があります。
組織に属していない、たった一人の個人であるミニ起業家に、お金を出すからには、その人に、それに見合った強みが必要だからです。
「一芸に秀でる」と言いますが、色々やりたい、色々できますと言っても、結局長い目で見れば、その人の強みに、周りはお金を出してくれるものです。
それぞれが、それぞれの強みを持つミニ起業家が増えれば、彩り豊かな面白い未来になっていくでしょう。
1人1人は小さな点ですが、それぞれが繋がることで線になり、地域を網羅する面になっていきます。各自が強みを発揮することで、山積みになっている問題解決につながるかもしれません。
例えば、私達が取り組んでいる問題の一つに「山の荒廃」があります。
私一人では何もできませんが、「比企ら辺まるごとキャンパス化計画」というプロジェクトを通じて、
・荒れた山を見て何とかしたいと、「伐採士」となったOさん
・木の地産地消を目指し、「製材と施工」を行う山なおさん(比企院3期)
・丸太看板の加工をしてくれた「木工家」の佐藤かつみさん(比企大23秋)
・丸太看板を建てる場所を様々調整してくれた風間さん(比企大学長)やトヨさん(比企院3期)
・丸太看板を建てる資金を集めるためにNFT(仮想通貨)を作ってくれた金井さん(比企大23秋)
・この活動による未来図を描き、手ぬぐいとしてデザインしてくれた久保田ナオさん(比企院1期)
・世に伝えてもらうためにプレスリリースを発信してくれた広報のすけさん(比企大24秋)等
各自が強みを発揮し、「山の荒廃問題」を、社会に発信し、その解決に向けて小さな一歩を、歩み続けています(今年で2本目、あと18年続ける予定)。
こんな感じで、強みを持つ個人(ミニ起業家)が繋がることで、問題解決につながっていくような未来って面白くないですか?
私は面白いです。だから、起業支援を行っています。
参考:何故、まるキャンを行っているのか?
https://tokigawa-company.com/why-maru-can/
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3)「自助・共助・公助」できる人
これは、2020年に、当時の菅義偉首相が所信表明演説で述べたことで、私は好きな言葉です。
比企起業大学で言えば、「分度を稼いで、余剰を推譲」できる人のことです。
まずは、「自助」として、自分や家族が生活する分(分度)は、しっかり稼げる。
その上で、「共助・公助」として、「余剰(余ったお金、能力、時間)」を、他者や地域のために「推譲(ゆずること)」ができる。そういうミニ起業家を増やしたいと思っています。
こういうことを強く考えるようになったのは、やはり2011年の東日本大震災でした。
自分達だけが幸せでいいのか?何かできることは無いか?
その時に出会ったのが二宮尊徳翁のこの考え方でした。「分度を稼いで、余剰を推譲」
比企起業大学は、
・まず、「稼げる人」になる(そのためにも「顧客づくり・商品づくり・現金のこし」を学ぶ)
・次に、余剰がでれば、それを推譲する。(例えば、後輩に仕事を発注する)
そういうミニ起業家を増やしたいと思っています。
実際に、自分達が稼いだお金(余剰分)を、下記プロジェクトに譲ってくれたミニ起業家たちが増えています。
・「後輩ミニ起業家 応援チケット」プロジェクト
https://hiki-kigyo-college.com/2024/03/29/hiki-nft_240328/
・「比企ら辺まるごとキャンパス化計画」
https://hiki-kigyo-college.com/2024/08/29/hkc-supporters24/
https://hiki-kigyo-college.com/2025/08/23/hkc-supporters25/
自助として、自分の分はしっかり稼ぐ。その上で、共助・公助として、余剰を推譲できる。
自分のことで精一杯ではなく、周りにも還元できる、そんなミニ起業家が増えたら、面白くないですか?
「面白き ことも無き世を 面白く するのは、われらミニ起業家なり!」
ぐらいの気概をもって、これからも起業支援を続けていきます。
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そして、こういうミニ起業家が増えたら、ときがわ町を出た子供達も、ここら辺に戻ってきてくれるかもしれません。
うちには、4人の子供がいます。
私も好き勝手やっているので、子供達にも好き勝手やってほしいです。
私は、埼玉県鴻巣市で生まれ、18歳の時、両親のお陰でアメリカに渡り、7年暮らし、20代半ば~30代は、自由が丘、川越、寄居で過ごしました。そして、2009年(37歳の時)に、子供達を自然豊かな環境で育てたいと、ときがわ町に引っ越してきました。
参考:引っ越して来た当初の様子を描いた「ときがわ町移住記」
http://tokigawa-machi.seesaa.net/archives/200903-1.html
私も妻も、この町が好きで、この町で死んでいくことになるでしょう。
子供達がどうするかは分かりませんが、希望としては、ここら辺に戻ってきてくれたらいいな~と思っています。
であれば、どんな町なら戻って来たくなるのか?
一つは、そこで暮らす人が、楽しそうに、幸せに生きていることなのではと思っています。
逆に、つまらなそうに、「こんなところ、早く出ていきたい」と思う町に、戻りたいと思うことはないでしょう。
その一助として、「面白き未来」を作るために、楽しそうに仕事をしているミニ起業家が多ければ、子供達にとっても「なんか楽しそう」と思ってもらえるかもしれません。
子供達がどうするかをコントロールすることはできませんが、私がどんな生き方をするかは示すことが出来ます。起業支援をしている父ちゃんの背中は、楽しそうに見えていたらいいな~と願っています。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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参考:2013年に書いたブログ
https://www.learn-well.com/blog/2013/06/post_387.html
参考:2023年に書いたブログ「比企起業大学の目指す姿」
https://hiki-kigyo-college.com/2023/10/16/vision-of-hiki-kigyo-college/
参考:ミニ起業家の育成論
2016年9月に「インキュベーション事業部」を立ち上げた当時の記事
https://tokigawa-company.com/incubation0/
ミニ起業家の育成
https://tokigawa-company.com/kigyoukaikusei/
どうやってミニ起業家を育成するのか?(起業家育成の方法論)
https://tokigawa-company.com/how170604/
ときがわカンパニーができる「起業支援」とは?
https://tokigawa-company.com/kigyosien/
ミニ起業家育成に必要な「支援」は?
https://tokigawa-company.com/ikusei/
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●ブログを読んでコメントを下さった方
○鈴木さん(比企起業大学 特別講座「ミニ起業家×お金のはなし」講師)
10年間の業務委託お疲れさまでした。関根さんや比企起業大学のみなさんの力で「比企ら辺」が少しずつ、確実に起業のまちになっていると思いますので、ぜひ旗を立て続けてくださいね![]()
(鈴木さん、ありがとうございます!)
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○佐藤さん(比企起業大学21春アラムナイ)
町外からの参加でしたが、以来、ときがわ町が非常に近しい、親しみのある町に感じるようになりました。
(みつさん、ありがとうございます!)
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○竹花先生(ランチェスター戦略「不倒の経営」勉強会での師匠)
公共事業に対して、きちんと成果を精査し、なあなあで続けるのではなく、辞める決断ができるという点で、ときがわ町の行政は厳しい反面、しっかりしているのだと思います。
値段が上がることで、より本気の相談者のみ対応できるようになるのですから、良い方向性なのであろうとも。
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○山崎師匠(本屋ときがわ町でお世話になっている師匠)
かつて政府と商工会・商工会議所の「創業塾」で長く講師を務め、全国を駆け回っててきましたが、行政による創業支援はとても難しいと思っていました。
関根さんもお気づきの通り、本気で創業する人は行政の支援などなくても自力でどんどん前に進むものであり、支援を当てにする人の中には、詰めが甘かったりして本気度を疑ってしまう人もみられました。
私は行政によるサポートは創業時はちょっぴりにして、むしろ創業後1年から3年の支援が必要ではないかと考えていますが、なかなかそれはパッケージ化しにくいようです。
今回の区切りは、ときがわカンパニーにとってはむしろチャンスだと思います。大いに飛躍してください。
(山崎師匠、ありがとうございます!)
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○汐中義樹さん(比企大21秋・比企院6期)
せきねさん
よしきです。
「なぜ〜」記事、前後編読みました。まずは10年の業務委託について、大変お疲れ様でした。
そして、「なぜ、起業支援を続けるか」の関根さんの思いを聞いて、比企大、ときがわ町に出会えてよかったなと改めて思い、まとまらぬまま、勢いまかせに筆(いや、タイピング)を走らせています。
22年の3月に教員を辞め、ちょうど4年が経ちました。
僕の起業と、比企大そしてときがわ町は切っても切れません。改めて、ありがとうございます。21年秋に比企大を知り、ソッコーで入学を決意しました。
それまで2つの自治体が主催した無料の起業セミナーを受講しましたが、「何かが違う」と思っていました。そんな折に探し当てたのが、ときがわ町にある、比企大。安くないお金を払って半年間起業について学ぶ「ガチ」な感じに、強く惹かれました。
そもそも埼玉県民でもなかった僕は、「ときがわ町」は行ったことも聞いたこともないところでした。それが、比企大を入口に、ときがわ町の素晴らしさを知り、すっかりいちファンになっています。
(「甘い!甘すぎる!!」と関根さんに営業に喝を入れてもらった日、「ちくしょーーー!絶対売れてやる!!」と叫んだのも、無数の星が瞬く満月のときがわ町の夜空でした 笑)
>起業は、始めることよりも、続けることの方がずっと難しく、継続するためには、学び続けること、試すこと、失敗から立て直すことが必要です。そのためには、お金も時間も、自分で投資していく姿勢が欠かせません。
まだ若輩者ですが、これは本当にそうなんだろうなと思っています。続けることの難しさ、学ぶことの大切さを痛感しているところです。
来月から埼玉大学大学院に進みますが、それもこれも、学び続ける関根さん・比企大の皆さんの姿があったからです。
>次に、余剰がでれば、それを推譲する。(例えば、後輩に仕事を発注する)
そうですよね。先日の戦略合宿でも聞いた「次の世代を考える」という言葉にも重なります。
後輩に仕事を出すために、僕もますます頑張ります。
ときがわ町の夜空を劈く「ちくしょーー!!絶対売れてやる!!」の幾つもの声色が、連綿と続くように 笑
僕は行政のKPIにはのらない町外のミニ起業家ではありますが、ときがわ町・比企大には感謝でいっぱいということを、なんだか無性に言いたくなって、メールしました。
まとまりのない長文、失礼しました。ご返信不要です。
よしき
(よしきさん、ありがとうございます!)
・よしきさんのインタビュー記事
23年8月 比企起業大学・比企起業大学大学院 卒業生インタビュー
https://hiki-kigyo-college.com/2023/08/25/shionakayoshiki-san/
24年3月 比企起業大学 卒業生(汐中義樹さん)からのメッセージ
https://hiki-kigyo-college.com/2024/03/31/yoshiki-san_240331/
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○小林豊さん(ときがわ町生まれ・スイスでシェフ)
スイスという遠く離れた国からですが私にとって生まれ育った町は特別です。
私も外からですが活力を与えられるよう今後も精一杯やっていこうと思います。
またお会いできるのを楽しみにしています。
○貝津美里さん(比企大24秋)
関根さん
こんにちは!美里です。
先日の入学式ではありがとうございました!
ミニ起業フェスの打ち上げでお話しされていた起業支援が終わってしまうことについて、改めてブログを拝読しました。
前編 「なぜ10年続いた起業支援 業務委託が終了したのか?」
後編 「なぜ私は起業支援を続けるのか?」
いろんな感情を整理し、一見ピンチと見えるようなことも、むしろ未来への力に変えていく考えの切り替え方に、とても感動したと同時に、たくさんの学びをいただきました。
私も、うまくいかないこと、思うようにいかないことを、自分の視点だけで考え苦しさや怒りに囚われてしまうことがあるのですが、次の世代や、地域、身近にいる人たちの暮らしをより良くしていくことに集中する視点を持てば、相手の立場になって冷静に考えられたり、自分のやっていることを大志に変えて、また前へ進んでいけるんだと勇気をもらいました。
特に学びになったのは、この言葉です。
問題を事業機会として捉え、自らやることを決め、決めたことを実行するミニ起業家が増えたら、地域の未来はもっと面白くなるはずです。
幕末に高杉晋作が詠んだとされる「面白き ことも無き世を 面白く」。
私は、そんな「面白き未来」を形にしていける存在の一つが、ミニ起業家だと思っています。
本当に、その通りだなと思いました。そして、自分が本当はどう働きたいのか、どう生きたいのかがこの言葉に集約されているように感じました。
私は、拙著のテーマでもありますが、
・問題であり事業機会を、「ジェンダーギャップや性別を問わず誰もが自分らしく生きられる社会(今はそうなっていない状態)」であると捉え、
・自らやることを「多様な人の個人の語りや生き方の物語を、聴き書きすること(インタビュー記事や、ZINE、本づくり)」と決め、
・実行するミニ起業家になりたいと、
関根さんのブログを読んでから、この1週間ずっと考え、整理し、ドキュメントに改めて事業の構想をまとめてみました。
比企大に入り、本を出版し、今の自分だからこそ、改めて事業としてやりたいことが整理されたように思います。お時間があるときに、もしよろしければご覧いただけたら嬉しいです。
関根さんからいただいた「母の人生を一冊の本にしてもらえませんか?」というご依頼から始まった事業です。大切に育てていきたいと思っています。
また起業相談などにお伺いさせてください!
長文失礼しました。比企つづき、どうぞよろしくお願いします!
素敵なブログを、ありがとうございました!
美里
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取材2026年3月24日まるキャン「2本目丸太看板」建立の様子が取材記事になりました。
インキュベーション事業部2026年3月22日後編 「なぜ私は起業支援を続けるのか?」
インキュベーション事業部2026年3月22日前編 「なぜ10年続いた起業支援 業務委託が終了したのか?」