50代社員の方々に関するヒアリング

ときがわカンパニー代表の関根です。

「比企起業塾 50’s」を開講するにあたり、2018年6月~7月にかけて、7社の人事担当やマネジャーの方々へのヒアリングを、ラーンフォレスト(同)林さんと共に行いました。(御協力下さった方々に感謝いたします。)

あまり詳細は書けませんが、ヒアリングの中で、印象に残った発言が、いくつもありました。

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●人事担当として

人事担当として、全社的な目線で「50代」を見た場合、若干の「扱いづらさ」があるのかなと想像しました。

・組織に「ぶら下がった50代」も多い。モチベーションをあげるのが難しい。
・50代の「困った社員」は、組織での影響力が大きい。
・年下の上司(40代)の下で働いている。40代の上司側も気をつかう。

●40代の後輩として

ヒアリングをした方々の中には、40代のマネジャーの方もいらして、色々思うところがあることを感じました。

・あれだけバリバリやっていた人が「言われたことだけやる」状態になっていて、見ていてもどかしい。
・自分もああなるかと思うと、先に希望が持てない。

●50代の当事者として

50代当事者の方々の声は、悲痛でした。

・先のことを考えたくない。
・名刺を奪われた後、自宅で何をしていいか分からない。

・既に「夫がいない状態」での生活パターンができている妻と、自宅で昼間どう過ごせばよいのか・・・。
・寝る為だけに帰っていた地域に、自分の居場所があるのか不安。

・「役職定年」で、今までついていた肩書が無くなった。
・組織の中での「あがり」が見える。上にあがった2割を羨む気持ちと、自分は力を抜けるという気楽さも。

・定年以降の事も考えてくれていることが分かれば、会社への帰属意識は高まるかも。

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50代の方々の発言の中で「先のことを考えたくない」というのは「そうかもな~」と思いました。

立教大学 経営学部 助教で、パーソル総研の田中聡氏の調査でも「役職退任後については極力考えないようにしていた」という回答者が一定数いたことを提示しています。(参考:ベールに覆われた「役職定年制度」の運用実態とその功罪

(ちなみに、田中さんは、東大中原研時代の仲間で、立教大学の中原研院ゼミでもお世話になっています。)

その一方、田中さんの調査では「仕事に対する考え方を変えていた」「具体的なキャリアプランを計画していた」ことが、役職定年後の心理変化にポジティブな影響を与えていることが明らかにされています。

しかも、そのように自分のキャリアについて考える機会は、できるだけ早い段階(例:40代)で行われた方が良いことも、別の調査を通じて、提言されています。(参考:50代からではもう遅い?40代から始めるキャリア支援のススメ

「自分の仕事を見直し」「先のことを考える」機会は、どこかの段階であった方が、50代の方々にとって救いになるのかもしれません。

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ヒアリングをしていく中で、もうすぐ会社を辞められる方で、50代の会社員生活をポジティブに捉えているFさんと出会いました。Fさんと話していると、こちらも元気になってきます。

・定年を終わりと考えるか、スタートと考えるか。多くの50代は、終わりと捉え、雇用延長を前提に考えている。
・定年後を、新たなビジネス展開のチャンスととらえると、日々の仕事に対するモチベーションが上がる。
・サラリーマン人生35年あれば、宝は必ずある。足りないのはアントレプレナーシップ。
・一個人が知識、スキルを磨き、講師、コンサルになる。これは、一般企業の50代でも可能。
・シニア活性化の施策としての「キャリア研修」は逆効果かも。「肩をたたかれ」「会社から期待されていない」と、受け手は感じる。
・シニアのモチベーションが下がっていると、40代、30代にも連鎖する。「自分もいずれはああなる」と下の世代は思う。
・企業内のシニアが元気になれば、下の代も活性化し、業績向上にも繋がる。
・シニア活性化は、人事ではなく、経営と話すべきテーマ。
・企業が「定年後がんばってもらうための支援」をしたら、シニアのモチベーションが上がるかも。
・役員になれなくても、専門家として会社に貢献できる道や、起業、転職の選択肢を示せたら。
・これからは、組織の中にあっても「個」をいかに立てていくか。マスではなく、ローカル。時代が変わってきている。

Fさんは、退職後の新たな道として「コンサルタントとしての起業」を考えていらっしゃるそうです。

エンジャパンのアンケート調査でも「定年後の理想の働き方」として、下記結果が出ています。

・年収1,000万円以上のミドルは「起業・独立」
・年収1,000万円未満のミドルは「再雇用制度を利用」が、それぞれ最多。
・定年後も働き続ける為に必要な事、第1位は「コネクション、人脈作り」。

(参考:人生100年時代の働き方意識調査

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Fさんからは、このブログをご覧いただいた後、下記メールを頂戴しました。(許可を得て転載)

●Fさんから頂戴したメール

ブログを拝見いたしました。さまざまな意見があり、ああそうだよねと、納得しながら拝見しました。

Fさんの部分は、かっこいいことを言っている自分に、少々気恥ずかしい気持ちですが、シニアが夢を持ってアクティヴに活躍することは、日本を変えることに繋がると私は真剣に考えています。

またお手伝いができることがありましたら、お気軽にお声がけ下さい。

追伸
今月、近々上場する某経営コンサルティング・ファームに、社長よりお誘いを頂き就職が決まりました。(社長といっても私よりも10歳も年下ですが。。。)元気のあるシニアぶりを気に入っていただいたようです。

これで起業とプロフェッショナルとしての仕事のWワークで、定年後をスタートすることになりました。これもシニアの新しい働き方と考え、自分を実験台にしてチャレンジしたいと思います。

(Fさん、おめでとうございます!これからも色々教えてください。)

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50代の方が、会社にいられる準備期間の間に、先のことを考え、一つの道として「地域での起業」を考えるのは、意義あることかもと改めて思いました。

その機会の一つに「比企起業塾 50’s」がなれたらと願っています。

★「比企起業塾 50’s(フィフティーズ)」では、第0期生 3名を募集しています。「会社で後進を育て、地域で課題解決に挑む!」50代の方々のご参加をお待ちしています。

投稿者プロフィール

関根 雅泰

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