第3回:親しみ溢れるお試し住宅「やまんなか」の管理人「おのうえさん」の40代編

-「山のオバちゃん!!」と呼びたくなる尾上美保子さんの謎解きインタビュー!-

第3回:親しみ溢れるお試し住宅「やまんなか」の管理人「おのうえさん」の40代編

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「山のオバちゃん!!」そう呼んで頼ってしまいたくなる「尾上美保子(おのうえ みほこ)」さんは、埼玉県比企郡ときがわ町のお試し住宅「やまんなか」の管理を任されている女性です。

その親しみやすさと身にまとった頼りがいのあるオーラから、ときがわ町に移住を考えている私たち県外人にとって、とても心強い存在となっています。

そんな尾上さんは「やまんなか」を管理しつつ、本業である、株式会社 R’e lease(不動産業)やみのり接骨院を営む女性起業家でもあります。

そんな尾上さんの魅力に迫り、その魅力形成の謎についてひも解いていくのが、こちらのコラムです。

今回で第3回目、最終回を迎えるため、いよいよ子育てブランクでの焦りを感じた40代とともに、直近の活動にもスポットを当てていきたいと思います。

さて、これまでの尾上さんの人生を振り返りつつ、インタビューに入っていきましょう。

-すみません、一度整理させてくださいね。
20代のときには、お客さんにえっちな画像を見せられるというアウトロー的なセクハラに遭いながらも、ノルマ達成のために売る工夫を提案して優秀な営業成績を収めましたよね。
そして、妊娠・出産・育児に起業と、大きなイベントを経験。けれど、起業するも鳴かず飛ばずという苦しい状況や、得意だった“売る”という行為の対象物が変わったことで思い通りに営業できないという苦しい経験をされて…

尾上さん:「苦しい経験というか、それも今となっては、良い思い出というか。やっぱり、そのときの経験も、今に活きています」

-そうですか。そんなふうに言える尾上さんがスゴイですね。それに、モヤモヤに押し潰されたり、そのときの状況に流されたりせず、20代で知った“自分が輝ける立ち位置”を取り戻すことを考えたっていうのも凄くないですか?

尾上さん:「自分のことを凄いと思ったことはないんですよ。ただ、ここは自分のいる場所じゃないなって」

-そういう、状況をよく把握して考え、日頃備えておいたパワーを、モヤモヤ解決のためのシフトチェンジに使うという行動も素晴らしいですね。それで、実際にはどんな行動に出たんですか?

尾上さん:「日帰り温泉のマッサージは自分に合わないけど、でも独立をしたい、自分の輝ける立ち位置を取り戻したいという気持ちが大きかったんですね。で、いろいろ考えて、介護施設をやりたいなって思ったんです。もともとお年寄りの方と話したりするのが好きでしたし」

-そうなんですね。

尾上さん:「それに、都市部には近くに大きな病院や施設も沢山あり、優秀な先生や治療家もいる。ですから、そういった都市部で技術の高い整体を学び、ときがわ町へ持って来たいというのが介護施設をやりたかった一番の理由です」

-介護施設で整体ということは、デイサービスのような介護施設?

尾上さん:「そうです。それで、介護の経験が無いので、介護施設へ行こうという感じです」

-すごくパワフルですね。40代でイチからって…

尾上さん:「でも、介護施設で働けるようになるまでは本当に大変だったんです」

-え?どういうことですか?

尾上さん:「私はもう介護施設へ行こうって決めてましたから、そう決めた時点で既に、日帰り温泉のシフトを週3回まで減らしていたんです。そしたらなんと、10日後に新設の介護施設の求人が出て採用されたんですよ。」

-すごい、そんなにすぐに採用になったんですね。

尾上さん:「それが、勤務できるようになったら連絡をもらえるはずだったのに、いつまで経っても電話が無いんです。それでこっちから連絡をしたら、なんと、スタッフの方が“採用なんかされていないですよ”って言うんです」

-ええっ?ど、どうしてそんな状況になるんですか?

尾上さん:「ほんとにねぇ。でも私、どうしても働きたかったので、“どうにかなりませんか?どうしても働きたいんです”と伝えたんです。そしたら、同じグループの施設を紹介してくれたんです」

-良かったじゃないですか!

尾上さん:「でも、そこでもまた同じようなことがあって…」

-ええっ?それってホントの話ですか?盛ってません?

尾上さん:「嘘みたいですけど、本当の話です。そして、それでも諦めず、また同じように“どうにかなりませんか?どうしても働きたいんです”と伝えました」

-ひぃいいいいい、スゴイですね。

尾上さん:「ホントすごいですよね。ある意味、ストーカーみたいですよね。でも、それぐらい働いて、技術を自分のものにして独立したかったんです」

-なるほど。そういえば尾上さんは、こちらの介護施設で働きながら、現在のみのり接骨院の前進である整体院を開業されていますね。

尾上さん:「開業が先でした。どうしても私の整体を受けたいという方がいて、採算度外視で店を借りて開業しました。そして、みのり整体院を開業して1ヶ月後に、介護施設で山崎先生と知り合ったんです。お互い独立開業を志していたこともあって、みのり整体院に山崎先生を迎えましたが、最初の約2年は泣かず飛ばずの赤字でした」

-そうだったんですか。なんだかお話を聞いていると、介護施設は、山崎先生と出会うための場所だったみたいですね。
それにしても、2年も赤字は大変でしたね。

尾上さん:「はい、大変でした。だから、みのり整体院の切り盛りが苦しいとき、私は不動産屋にパートに出ていました」

-なるほど。そのパートでなんとか切り盛りしていたわけですね。

尾上さん:「はい。でも、その経験は、ある意味刺激的でした。営業の同世代の女性を見ると、とても輝いて見えて。私もこういうときがあったはずなのに、今の私はこういうふうにはできないな…みたいな」

-あぁ…

尾上さん:「それに日帰り温泉で働くまでは、ほぼ子育てに専念していたので、営業トークをしようと思っても上手な話し方もできなくなっていて…」

-そういう声は、子育てに専念して仕事に復帰したお母さんの声として、とても多いですよね。やはり尾上さんも焦りとかありましたか?

尾上さん:「もちろん焦りはありました。子育てをしていて現場を離れていたからカンが鈍ったと思って焦りましたし、“かしこまりました”とか、そういうきちんとした言葉づかいができなくなっていることにも焦りました」

-でも、いろいろな人との出会いや経験を経て、そういった焦りの部分も埋めていったわけですね。そして、いろんなことが少しずつうまく動きはじめたわけですね?

尾上さん:「はい。大きな動きとしては、開業から1年10ヶ月後にありました。来院を続けているうちに、だんだんと痛みが和らいでいくというお客様に答えを頂いたんです。お客様の痛みを取るには、医療機関として登録する必要があるのではないか、と。そして、そういった手続きをすることが追い風になると信じて、“みのり接骨院”を誕生させました」

-みのり接骨院を誕生させた際、何か戦略などはありましたか?

尾上さん:「院内戦略はたったひとつ。他の接骨院の真逆の接遇を徹底的におこなったことです。この接遇の中にはフロアコントロールも盛り込み、院内がスムーズに循環するよう努めました」

-フロアコントロールって聞き慣れない言葉ですね。それから真逆の接遇というのも、具体的にどういったものなのか気になります。

尾上さん:「接骨院に行ったとき、待つのが苦痛だというお客様もいたので、完全予約制にしたり、待ち時間にも安らいでいただけるようお茶を出したり、あとは企業機密ですが、こういった戦略が功を奏したのは間違いないですね」

-待ち時間にお茶が出てくるというのはいいですね。夏の暑い日や冬の寒い日は特に。なんだか、お客様のひとりとして大切にされている、歓迎されているという気持ちになり、ほっこりとした気持ちになりますね。

尾上さん:「あと、フロアコントロールというのは、起こりえるフロアの状況を予測し、事前に処理をおこなうことなんですね。だから山崎先生といろいろなことを予測し、話し合い、連携して、院内の業務がスムーズに進むよう努めました」

-なるほど。そして、それを機に、みのり接骨院は山崎先生に任せ、尾上さんは営業に専念されることにしたんですね?

尾上さん:「はい。お蔭で今では、痛みを取る専門治療院として多くの方に来院いただいていますし、開業を夢みていた頃に目標としていた “田舎に確かな整体の技術”を広めることができました。」

-うわぁ!すごいですね。ここで目標を達成されたわけですね!
すごいです。これだけいろいろなことがあったからこそ、いまの尾上さんの魅力が構築されていったわけですね。謎が解けました!
そんな経験豊富な尾上さんが、今までの人生を振り返って一番大切だと感じていることを教えてください。

尾上さん:「一番大切だと感じていることは、やっぱり、“人との出会い”と“出会いって人を変える”ということですね」

-「出会いが人を変える」ですか?もっと詳しく知りたいです。

尾上さん:「良い人とのつながりが、良い縁や良い状況に向けてくれると思うんです。ですから、人との出会いは大事にしないといけないなぁ…って。そして、良い人とのつながりをつくるためには、お金や物理的価値を追い求めるのではなく、人とのつながりを大事にすることだと思います。自分の持つ良い技術を共有したり、質の高い技術を学ぼうとしたり、そうしているうちに良いつながりができていくんだと思うんです」

-なるほど。人とのつながりを大切に思い、自分の良い技術は共有し、人が持つ質の高い技術を学ぶことで出会いの場が広がり、良い出会いにつながっていくというわけですね。

尾上さん:「そうです!山崎先生との出会いもそうですが、比企起業塾でもたくさんの出会いがありました。そして、いろいろな人たちと関わっていくうちに、ときがわ町に魅力を感じて移住を希望されている方がとても多いこと、移住希望者に対して空き家が少ないことを知りました。それで、どうにかしたいと思って、いま動いています!」

今後、尾上さんの溢れんばかりのパワーは、ときがわ町への移住希望者の方たちのために注がれることになりそうです。

尾上さんのような頼りがいがある方が、こうして移住を希望する私たち県外人と“ときがわ町”をつなぐスタート地点にいてくれることは、とても心強いことです。

移住を希望する県外人の代表として、今後の尾上さんの活躍に期待するとともに、身近な相談相手や頼れる存在として輝き続けてほしいと思っています。

尾上さん、お時間を割いてインタビューに答えてくださり、ありがとうございました!

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【ライター・プロフィール】

旅行記事や美容関連をはじめ、住まいや不動産、金融などジャンルは幅広い。
各地を飛びまわり、インタビューや取材などをすることに生甲斐を感じつつ、
役立つ内容や楽しんでもらえるような記事の執筆を心がけている。
楽しいことや現実逃避が大好きな遊び人ライター、山内良子。

(写真撮影は、melancholy )

投稿者プロフィール

関根 雅泰

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