ロドリゲス晴海さんからのアメリカ便り「ホワイトハウス訪問」

ときがわカンパニー代表の関根です。

アメリカ在住のロドリゲス晴海さん(本屋ときがわ町でもご登壇頂き、ときがわ町にも来てくれたことがあります)から、下記メールを頂きました。(許可を得て転載)

関根さん 風間さん

岸田首相がアメリカ訪問の大統領の歓迎式典に息子のご縁で招待を受けホワイトハウスに行ってきました。 メディアが報道する記者会見や首脳会談の模様ではなく、私の個人的な体験談ですが、貴重な体験でしたので、ご縁のあった皆様やときがわの皆さんにもよろしかったらシェアしてください。 長いのでPart t, Part IIとしてあります。 (Videoも沢山撮ったのですが、いずれスライドにもまとめようかと思っています)

ときがわに住んでいないときがわ県民ですから、どなたとシェア頂いても構いません。 全く政治的な視点ではなく個人の体験談ですので。 関根さんや風間さんのFacebookのPostingでもときがわを訪ねた前と後では親しみが倍増して、景色を思い浮かべてとても懐かしく思っています。 また帰りたいです! 晴海

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岸田首相の歓迎式典、Arrival Ceremony, The South Lawn, White House

Part I “スニーカーで駆け抜けたホワイトハウス“

2024年4 月10日9(水)に日本の岸田総理夫妻を国賓とした、ホワイトハウスでの“Arrival Ceremony”(到着式)に参加する機会がありました。 記者会見や首相と大統領の会談の様子は多くのメディアでも取り上げられていましたので、一般人としてこのような行事に参加した個人的な体験談です。

政治には無頓着な私が、ホワイトハウスで日本の総理とアメリカの大統領を直ぐそばで見ることができた大変光栄で貴重な体験ができたきっかけは、元アメリカ国務省の事務次官だった息子が家族も含めて招待を受けたので、直ぐに私にも連絡がきてまたとないチャンスだからとDC訪問の手配をしてくれた為でした。 アメリカの国務省は、日本でいえば”外務省“と似た役割を持つ機関でアメリカの外交政策を統括しています。

招待を頂いたのは、2月の半ば、ただし招待を受けても登録をしてBack ground checkをして、クリアをしてホワイトハウスからのE-mailの通知を受けたのが1日前、配信先が、WHITEHOUSEとあり、よく読まずに迷惑メールと勘違いし、そんなメール来ていないと息子に心配をかけてしまいました。(無事受信していました!) その後、ホワイトハウスから大統領のサイン入りのパスが送付されました。

ホワイトハウスからのE-mailとか、大統領のサイン入りのパスなど受け取るだけで緊張してしまいました。

私は45年アメリカに住んでいますが、国籍は日本なので、アメリカでは通常州発行の免許証がどんなところでもIDとして通用するのですが、今回の式典については、アメリカ市民権を持っていないゲストは国が発行したパスポートを持参するようにという注意書きがありました。

私は1週間前からDCに滞在していましたが、国内の旅行だったのでパスポートを持ってきていませんでした、事前のRegistrationを息子に任せて、パスポートナンバーやグリーンカードのナンバーなどは登録してあったのですが、身分証明はパスポートでなければならないことが解り大慌て、カリフォルニアの娘に連絡をして、パスポートとグリーンカードをExpress Mailで郵送して貰いセーフでした。$30もの送料をかけて、即日デリバリー、署名が必要と安全な方法で送ってもらいましたら、自分の身分を証明する一番大切なパスポートとグリーンカードが手元から離れることはとても不安でした。

そんな苦労があって届いたパスポートでしたが、当日ホワイトハウスのゲートチェックで、登録したアメリカの姓名と、日本のパスポートの名前の順番が逆だったためシステムではねられ、息子家族は3人の子供も含めすんなり通ったのですが、私だけもう一度別のテントで登録のやり直しという危ない目に逢ってしまいました。 当日セレモニーは10時から、招待客用のゲートは午前8時に開門9時ピッタリに閉められます。 招待パスを持っていても9時すぎに到着すると入れません。朝7時半に家を出て8時には到着、周辺の土地勘がある息子のお陰で家族は先に車から降りて行列に並びパーキングを探して時間を取られることもありませんでした。

ホワイトハウスでは、ハロウィーン、Thanksgiving, またEasterなど子供達を招待しています。 息子家族もハロウィーンとEasterの行事に子供と参加していて、その時の駐車の困難と行列の長さは異常だったようですが、さすがに国賓の行事で招待客の数も限られていたので、長い行列にはならなかったようです。日本の首相官邸では、一般人や子供を招く行事があるのでしょうか? 公的な行事外国の要人との会談や色々な分野の功労者が招かれることは有るようですが、子供や家族を招いた行事は思い浮かびません。 そんなところはアメリカのほうが解放的だと感じました。

私達は行列のかなり前のほうでしたが、私がパスポートチェックで、名前の順番(旧姓とアメリカの姓名)が違っていた為登録のやり直し、クリアになったのは9時の閉門の直後でした。私の場合、アメリカで使っている名前は、Harumi  S. Rodriguezと旧姓をイニシャルしか入れていませんが、日本のパスポートはShimoozaki-Rodriguezとなっている為 登録した時の名前、Harumi S Rodriguezとパスポートの名前が一致していませんでした。

バックグラウンドチェックは、Social Security Numberや免許証で確認するので問題なかったのですが、身分証明書として通用するものがパスポート(アメリカ市民権を持っていない場合は自国の政府発行のIDとの注意書きもありました)が必要で、登録ネームとマッチしていない状態でした。

家族は先に入っていたので、私は最後のほうでやっとクリアになり、家族に追いつく為にホワイトハウスの中を急ぎ足で通り抜けたので、ホワイトハウスの中に入れた感動を味わっている暇はありませんでした。時間通りに到着したゲストは、大統領夫人の挨拶を受けたり、写真をとったりできたようですが。私はヒールの靴は持参していましたが、行列と立ち見を予想してスニーカーのまま車を降りたのは正解でしたが、まさかスニーカーのままホワイトハウスの中を駆け抜けるとは思ってもいませんでした。

パスポートについて余談になりますが、アメリカの空港では各州の免許証がIDとして使えますが、ドイツ、フランクフルトの空港でアメリカへの帰りの便をチェックインした時、アメリカの免許証では通用しませんからパスポートが必要で、この時も苗字の旧姓とアメリカでの名前の順番が違っている為なかなかチェックインできず危うくフライトに乗り遅れそうになったことがあります。

(おまけに私のグリーンカードは古いので有功期限が無いものなのですが,その為桁数が新しいものとは2桁足りないようで、アメリカ入国の際、イミグレーションで必ず止められます)国際線はパスポートと同じ名前でないとチェックインやイミグレーションでなかなか通らないのでご注意下さい。

ここまではドタバタ、ヒヤヒヤ続きでしたが、スタッフからアメリカと日本の国旗を渡され、グリーンパス(一般―立ち見)エリアに息子家族を見つけ、そちらに向かって走って行くと息子家族がスタッフに案内されて移動してきました。 パープルパス(VIP 着席)エリアに空きがあって運よくそこに座ることができたのです。息子家族5人プラス私と息子の義姉までいれて7人の大所帯でしたが、副大統領や日本から随行された大臣たちのすぐ後ろの列で、座ることができとてもラッキーでした。

https://www.youtube.com/watch?v=UaoOBNQaIig

こちらはYoutubeのリンクですが、5:07-5:13位に写っています。)

↑真ん中ら辺に、晴海さんが写ってます!

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Part II ”ワシントンの桜“

長い前置きでしたがここから厳かにセレモニーが始まります。

アメリカの国賓を歓迎するArrival Ceremony(到着式)は、外国の要人や国家元首がアメリカを訪れた際に行われる公式な儀式です。通常、この式典はアメリカ合衆国大統領や他の高位の政府関係者が出席し、式典の形式や内容は訪問者の地位や訪問の目的に応じて少し変わります。 このような儀式は古くから、国賓が到着する空港で行われていましたが、Truman大統領の時代に形式が整い、ケネディー大統領により、ホワイトハウスのSouth Lawnに移されました。

空港やホワイトハウス周辺の主要道路はアメリカと日本国旗で飾られて、ホテルや近くのWindowは日本を象徴する桜のDisplayがあちこちに見受けられました。

バルコニーでは琴の演奏があり、その後アメリカと日本の国旗をもったユニフォームの男女が行進してきます。 この時アメリカらしいと感じたことは、同じユニフォームではなく、アメリカにある5つのArmed Force:Air Force空軍、Military陸軍、Navy (海軍) Marine(海兵隊) Coastal Guard (沿岸警備隊)Space Force(宇宙軍)のそれぞれのユニフォームで順番に並んでいたことが印象出来でした。

NavyとMarineの違いすらよく知らない私ですが、それぞれのユニフォームで男女が混ざって旗を持って行進されている姿は、日本では、このように違う部署が混合して行進をするこてはたぶんないだろうなあなどと想像目の前をとおる ユニフォームのオフィサーの違う軍隊でありながら息の合ったきびきびした動作に感動しました。

黒塗りの車が到着し、副大統領夫妻、日本からの随行大臣、また大使など国家の要人達が着席すると、アナウンスがあり大統領夫妻がホワイトハウスからレッドカーペットに出てきます。 この時ゲストは起立をしますが、たぶん日本では、”ご起立ください“というアナウンスになると思いますが、アメリカでは、”Please stand if you are able“ ”立てる方はご起立ください ― 車いすや何かの理由で立ち上がることのできない人を気遣う言葉が入っていたのは、アメリカらしいと感じました。

そして、アナウンスがあり岸田首相夫妻の登場、この時は、His Excellencyと言う敬称が使われます。外交的な要人、国王、大統領、首相、大使などに対して使われる敬称で、日本語では”閣下“になります。文字で見たことはよくありますが、実際にアナウンスされたのを聞くととても”高貴“な言葉で、国王、天皇陛下などには向いているけど、日本の政治家にはちょっと場違いなような気分でした。

19発の礼砲の合図と、日本国家が流れ、続いてアメリカ国家が演奏されました。

19発の礼砲は、公式な国家式典や外国の高官に対して大統領が敬意を表するために使用されます。数字の19には象徴的な意味があり19が選ばれた正確な理由は明確に記録されていませんが、軍事プロトコルやアメリカの歴史と伝統を象徴する数字として選ばれたと信じられています。(訪問者が国王や天皇陛下と言った国家元首の場合は21礼砲となります)

国賓に敬意を表して日本の国家が先に演奏されましたが、私は礼砲の後だと思っていたのですが、礼砲の間に君が代が演奏されたので、礼砲の音のほうに気を取られたというのが正直なところです。19発と言う数をしっかり確認したいという気持ちでしたが、アナウンスではなく、ファンファーレの音から始まったので、最初の一発目は数えられなかったので、18カウントでした。君が代は最後の最後の4音で、あ、君が代だった、、、、というくらいすり抜けてしまいました。

次に、Review of Troops (閲兵式)という私には耳慣れない儀式がありました。この式典では、軍隊の儀仗兵が整列する中を大統領と総理が閲兵の為South Lawnに整列した各軍隊の前を一周されました。 ワシントンのシンボルでもあるリンカーンモニュメントが印象的でした。

大統領と首相がポディウムにあがると、“Musical Troop in  Review”アメリカの伝統的な衣装の鼓笛隊の演奏がありました。バイデン大統領が岸田総理の耳元でなにか話しているのが見えましたが、“これはアメリカの伝統的な曲です”といった解説をされたのではと想像していました。耳慣れたYankee Doodleが聞こえ、国家以外でアメリカを代表する曲、日本でいえば“さくら、さくら”のようなものではないでしょうか?

その後バイデン大統領の歓迎の言葉、岸田総理の挨拶も日米の友好について強調されていました。 日本から送られたポトマック河畔の桜が日米友好のシンボルであることに加え、近く米国が迎える建国250周年を記念し、250本の桜を新たに寄贈することを伝え大きな拍手を呼び起こしました。

ワシントンの桜は日本から贈られたものということは有名な話ですが、現在8000本近い桜を誇るこの名所ですが、それまでには多くの困難を乗り越えて成し遂げられました。1909年アメリカ在住の高峰譲吉博士(タカジアスターゼの開発、アドレナリンの発見者)の提案で、当時の東京市長であった尾崎行雄氏の協力で横浜港から出港した2,000本は11月にワシントンに到着した時病害虫に侵され防疫検査を通過できず、全てが焼却処分になったという歴史に始まります。

その後日本側の綿密な計画により荒川の桜に接ぎ木などをして健康な苗木を育て、3年後の1912年12種類の桜の苗木が横浜港を出港し、西海岸のシアトルに到着し、そこからは冷蔵貨車で大陸を横断してワシントンへ届けられました。検疫検査を無事通過し全ての苗木が健康であることが確認されやっと植樹が可能となったという背景を私は知りませんでした。

この朝の式典のスピーチは、記者会見や首脳会談の前の儀式的なものであるため、バイデン大統領も岸田首相も桜をシンボルに友好的な言葉にとどまり、日米の同時通訳もついていたので参加していた一般やとくに日系人の子供達にもわかりやすいスピーチでした。 ただ英語が得意とされる岸田首相はもう少し英語での表現を挟まれるのかと期待をしていましたが、終始日本語で最後のThank you so much,だけだったのが少し残念でした。

この式典は全て厳粛に整然と進行しましたが、大使や総領事と言った要人だけでなく、駐在員家族や、先生に引率された日本人の子供達も多くみられ、ホワイトハウスでは、ユニフォームの軍人さん達が、笑顔で、朝は“Welcome to the White house!”と迎えてくれ、帰りは誰もがにこやかに”Have a good day!“と呼びかけてくれ、子供達とハイタッチ(High 5)をしている軍人さんに子供達は大喜び、厳しいSecurityの中でも、オープンで暖かい雰囲気だったことが強く印象に残りました。

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晴海さん、貴重なアメリカ便り、ありがとうございます!また送ってください。

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