ときがわ自然塾「茂木健一郎先生」のセミナー

ときがわカンパニー代表の関根です。

2023年2月4日(土)16時~18時 ときがわ自然塾 トカイナカハウス神山さん企画
「茂木健一郎先生」のセミナーを開催しました。

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●神山さんの案内文

さて、ときがわ町で開いている新しい学びの形、ときがわ自然塾。

2/4日は脳科学者茂木健一郎さんをお招きします。
16:00セミナー開始、18:00懇親会開始

今回のテーマは、トカイナカを脳科学する!〜分散型社会の到来は、ぼくらにどんな未来を見させてくれるのか?脳科学的に迫っていただきましょう。

その他、皆さんからのさまざまなジャンルのご意見ご質問なども受け付けながら、フリートーキングスタイルで行います。

茂木さんとフリートーキング!痺れますよ!

参加費はセミナー三千円、オンライン参加者は二千円、お支払い方法はご相談ください。
懇親会はアルコール付き四千円、ノンアル三千円。宿泊可能です。素泊まり三千円。

お申し込みは、mhd03414@nifty.com、
080-3252-7449まで。定員20名!
お待ちしていますねー

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●神山さんの導入

・たまたまバスの中で同席した。
・明覚は初めて。小川、毛呂山は良く来ているそう。

●茂木健一郎先生

・元々小川町が好き。
・忠七めし 二葉 どんな人でもおかわりする。
https://ogawa-futaba.jp/menu/chusitimesi

・寄居も好き。
・武者小路実篤の「新しき村」@毛呂山も
http://www.atarashiki-mura.or.jp/

・蝶の研究。嵐山にはオオムラサキがいる。

・この辺りは土地勘もあり、来るのを楽しみにしていた。

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・最近読んだ名著がある。板橋区在住。神山さんという方の本。
・「トカイナカ」の本を読んだ。
・神山さんは、世間の人と違う感覚。普通の考え方をしてない。

・大学生の時に、ある合宿で、田舎に行った時、「ここ何にもないよね」と言われた。
・田舎に行って「何もない」という人は、一番教養がない。田舎にいって豊かさを感じる人こそ、一番教養がある。

・イギリスのワシントンという田舎。映画「モーリス」の世界のようだった。
・日本の貧相さ。

●Perception認知の観点からのトカイナカ

・ムーアという荒地。
・エミリー、シャーロット、アン 三姉妹が「嵐が丘」等の文学史上傑作を書いた。
・ブロンテ姉妹がいた所に比べれば、トカイナカは大都会。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E5%A7%89%E5%A6%B9

・「この貧しさは何か?」

・新自由主義者の特徴。自己中心的。この経済社会の中で、いかにうまくやるかが賢いこと。
・「登り列車にいかに乗るか」を考えている人が、もてはやされている。

・明治時代、成金が多かった。夏目漱石の「坊ちゃん」に描かれている。
・渋沢栄一は、政商。子供に分配した。

・明治もそうだが、今の日本もそうかも。
・グリーン車に、偉そうに乗っている人たち(スタートアップの経営者等)がいる。

・「資金調達、何億した」という話が多いが、実際にその後、稼げるのか?
・金持ちをちやほやする風潮。

・S.ジョブスが、マッキントッシュを発表。
・日本の版画家の絵が、PCに描かれていた。
・マイクロソフトが嫌い。今もTeamsが嫌い。

・貧すれば鈍する。
・日本での「教養のなさ」が悲惨に感じる。

・ハーバードで日本文学を専攻していた人が、金融で大きな仕事をしていた。
・海外のビジネスパーソンは教養がある。
・山口周「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」は、彼のカミングアウト。本当に書きたかった本。

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・日本人は本気で生きてない。養老孟司談。

・ケンブリッジはド田舎だが、有名な研究者(ニュートン等)が多い。
・ロンドンに行って、オペラを観たり。
・ロンドンのタウンハウス、田舎のマナーハウス

・日本だと参勤交代
・イギリスだと、田舎と都会の行き来をしている。

・人が行ったり来たりするのが重要。

・「創造的休暇」Creative Vacation

・アイザック・ニュートン 20代での発見以降は、大した発見をしてない。
・父が亡くなっていて、母が再婚した。
・数学の才能があって、ケンブリッジに入った。雑用をしていた苦学生だった。
・ペストでケンブリッジから離れた1666年が、奇跡の年になった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3

・脳は、集中とリラックスの両極がないと、創造性を発揮できない。
・走るときは何もできない。何かに集中することと、リラックスすること。
・デフォルトモードネットワークが活性化したのが、ニュートンの状態だったのでは。

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・リラックスして瞑想してという文化が無かった。
・「コスパ」「タイパ」という発想が出る人は、クリエイティブと関係ない。

・秋元康やユーミンも会うと、夏休みの子供達みたいな感じ。
・クリエイティブな人は、余裕こいてる時間がないと、クリエイティブになれないことを分かっている。

・集中とリラックスをやってないとやばい。
・そこが、日本の停滞の根本にあるのでは。

・S.ジョブスは、貧しい環境で育った。
・カリグラフィーの授業を聴講した。それをマッキントッシュに活かし「フォント」という発想を産み出した。

・ドットとドットを結ぶ。
・「コスパ」「タイパ」と言ってる人は「使われる人」の発想。

・サリンジャーの「キャッチャーインザライ ライ麦畑でつかまえて」
子供が崖から落ちないよう捕まえるのが自分の仕事。
・サリンジャーは、従軍してすさまじい体験をした。

・効率よく小説を書こうという人間には「ライ麦畑で捕まえて」は書けない。

・加藤典洋の「敗戦後論」
・ホイットニーと白洲次郎とのやりとり。15分で決めろ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%B4%B2%E6%AC%A1%E9%83%8E
・原爆の力を背景に、アメリカから15分で押し付けられたのが、日本国憲法。

・S.フライ 同性婚で幸せそう。
・頭が悪いから、日本はダメ。
・前頭葉を使ってない。和田秀樹曰く。
・前頭葉を使ってない人間が、田舎に来ると何も感じられない。

・「FM東京」清志郎がやらかした事件。
https://nomadrhythm.com/post-769/

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・文脈、場所づくりができない。
・東大王クイズに出てる人たち。前頭葉を使ってない。

・都会と田舎

・六次元 付加価値の作り方
・「生きがい」「なごみ」という本を海外向けに書いた。
・「生きがい」が、バズワードになっている。
・「和 なごみ」17条憲法

・The Way of Nagomi

・The Way of Tokainaka

・食にまつわる人達は凄いことをやっている。
・トカイナカを、食を中心に考えるのは良い。

・なごみ 異なる要素をマリアージュする。カツカレー。日本的ななごみの一皿。
・イギリスは、カツカレーに征服された。

・パン粉フラワー。
・どら焼き、寿司も、イギリスで人気。

・イチローズモルト@秩父。世界で人気。
・コシミズさんが、日本のウィスキーを世界一にした。
・日本のウィスキーの方が格上。サントリーの響も品切れ。
・多様性を上手く和ませると、良いウィスキーができる。

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・君が代の作者は、読み人知らず。それが国家になっているのが凄い。
・天皇から防人まで、立場に関係ないのが、万葉集。

・「歌会始」は、誰でも出せる。
・日本には良い所がある。

・日本の食は、世界一と断言しても良い。

・それだけのために旅行していく価値がある。それが、ミシュラン三ツ星の定義。
・日本は、三ツ星が一番多い国。

・板橋のそば「トキワ荘」@豊島区。
・手塚治虫 大阪の空襲で焼けた野原を歩いていた時に、漫画家になろうと決めたそう。

・岡山の「まつり寿司」ひっくり返し。
・裏まさり(裏地を豪華に)

・日本人はしたたかに。
・田舎の人も「何もない」と言いながら「豪華な生活」をしているかも。
・「何もない」と言いながら、実は裏でなんかやってる。そういうクリエイティビティもあるのでは。

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・養老孟司さんを呼ぶなら、煙草盆が必要。
・すべてをフラットに見られる人。

・教養のある人は「どこでも楽しめる人」
・内田百閒 2時間ベンチにいてもOK。

・人間を人として見られるフラットさが、教養。
・どこにいても、自分は自分。
・自分の中で楽しみを作れる人が教養。

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●質疑応答

・栃木から来た方
・鹿島神宮 エミール

・東京から来た方。脳が鈍ってきた。環境を変えて学んでいきたい。元リクルート。
・江東区から来た。堂平に行こうとして、偶然、こちらに参加した。

・茨城から来た方。

・記憶が正確に残ると良いという前提が間違っている。脳は、補う機能が出てくる。どこかが落ちると。
・機能が落ちると、他が補おうとする。

・意欲は、社会的に構築される。
・「いい年してやるな」とか言われると、しょぼんとしてしまう。しょぼんとしないことが大事。

・山なおさん@ときがわ。「小樽から札幌に行く話」が好き。
・今生きている間でできることは何か。

・頭で考えているよりも、体験ができる場を作る。
・子供は宝さがしが好き。何か見つけられると楽しい。

・鳩山NTで「日替わりシェフ」

・養老孟司先生が、メタバース協議会に参加。
・メタバースでは、味や匂いが分からない。

・逃走経路が分かっていれば、茂木先生も来る。

・高齢者ばかりの町で、町おこしをやっていて、上手くいっている。
・人と人が、つながる場を作って盛り上がっている。

・カネボウと共同研究。女性がどういう状況で化粧が必要か。自分のいつもの知り合いと、新しい人が混じっていると「化粧が必要」と考える。

・偶有性 Contingency

・コミュニティ まれびと いつもの人とのバランス。
・よどんでくる。派閥ができる。
・いつも同じメンバーだとダレてくる。ちょっと新しい人もいると良い。

・いじめが起こるのは、固定メンバーだから。

・Hさん@坂戸市 特別支援学校で、点滴をしている子供達のケアをしている。

・周りの大人に起因していることが多い。良い大人として接してあげること。
・子供の精神の方が高い。先生を包むように見ている。

・大人が作った社会に合わせて、リクルートスーツを着ている。裏まさりのような。

・ゆたぼん 不登校時代から知っている。彼に対する世間のものの言いようが酷い。

・川口のIさん 拠点を作り、行き来している。
・都会の人と、田舎の人の性質が違う。

・Oさん。高校の支援をしていて、無気力な生徒。
・脳には、サイレントピリオドがある。待ち時間が大切。
・定点観察が大事。1年入っている。3年を目標に。

・彫刻家 高田博厚 の作品が、高坂駅にある。
・お祭りみたいなことをしたい。車社会で、散歩する人が少ない。
・触れる彫刻。

・年を取ると衰える脳の機能、伸びる脳の機能はあるのか?
・流動的知性(全く新しいことに対応する)は年齢的に落ちていく
・結晶的知性(経験を積む)は年をとってもある程度維持できる。

・コンフォートゾーンと探索的なゾーンのバランス。若い時は、探索的な学習が多い。年取るほど、コンフォートゾーンにいたがる。
・個人差がある。コンフォートゾーンだけで過ごしている人もいる。

・ぬるま湯 いかにストレッチゾーンに出すか。
・8:2 2割の業務を、探索的なものにする。
・ソニーの研究所 上司のグリップが完ぺきではない。

・「赤の女王仮説」常に走り続けないといけない。
・iphoneのR&Dは激しい。

・無理なチャレンジをしなくても行けるという雰囲気。
・その強みを生かして、あえて文化的な働きをしてもよいのでは。サントリー、資生堂、JT。

・常にR&Dをしないといけないわけではないかも。
・ChatGPT グーグルは、R&Dを続けないと終わる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ChatGPT

・田舎は窮屈では。都会はフリー。
・都会の匿名性。いちいち知り合いに会わない。それは、都会のベネフィット。

・主体性も、自由意志も幻想。
・ハーバードのウェブナー 自由意志も主体性も、脳が作った最高の幻想、マジック。

・コミュニティの中でのコミュニケーションの取り方。

・自由に言ってしまう人は、言わない人に比べると、違う。
・それが主体性。社会的な構築に近い。
・人工知能におけるパターン認識と似ている。

・理屈っぽいコミュが苦手な人もいるかも。

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18時~ 懇親会。

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21時ごろ、山なおさんに送ってもらって、帰宅。

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茂木先生、神山さん、ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!

●茂木先生のツイッター

茂木健一郎さんはTwitterを使っています: 「#神山典士 さんの #トカイナカハウス を訪問する。 それは埼玉県比企郡ときがわ町にあります。 すばらしい時間でした! いろいろインスピレーションをいただきました! #茂木健一郎 #脳の教養チャンネル #クオリア日記 https://t.co/snj8Bw5Qgz」 / Twitter

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●特に印象に残った言葉

・田舎の人の裏勝り。
・教養のある人は、どこでも楽しめる人。
・いつもの人とまれ人のバランス。
・都会と田舎を行き来する。
・創造的休暇 Creative Vacation
・集中と弛緩(リラックス)

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●茂木先生のセミナー前に予習で読んだ本

『クオリアと人工意識』(2020)

・ゲーム的な発想が広く及んでいない社会の側に問題がある。

・人工知能の発展段階:
1)オラクル型 2)ジーニー型 3)ソヴァリン型

・どのような行動が望ましいと考えらえるかという評価関数(evaluation function)さえはっきり決まれば、人工知能はそれを最適化できる。
・人工知能は、与えられた評価関数を最大化することしか考えない。ゆえにそのふるまいは狭く、暴走する。

・生命現象は、すべて時間という制約の中で起こる。

・意識(Consciousness)は現実に存在する。

・創造性は、常にチームワークの中にある。課題になるのは、チームの中の個性をいかに響き合わせるかということ。
・一人賢い人がいるよりも、一人安心する人がいたほうが、チームとしてのパフォーマンスは上がる。
・賢いかどうかより、よい人かどうかのほうが、多くの人にとって大切。

・アハ体験における「一発学習」。(石川・戸嶋・茂木2019)

・自分がどのような評価関数で行動しているのか、何を優先しているのかが明らかになってしまうことに、人間は耐えられない。

・自己意識のセントラドグマは、正しいのか?
私という意識は、たった1回だけ生まれて、そしてやがて死んで消えていく。一度死んでしまったら、私はもう二度とこの宇宙に戻ってこない。

・ベルクソンの「純粋記憶」は、ラッセルの「5分前仮説」を否定する力がある可能性があるのではないか。

・人工知能研究コミュニティの強気で大胆な姿勢や論調に欠けているのは「身体性」である。いかに物質に接地させるかという方法論。

・実は、この宇宙には意識は一つしかないのだ。

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『最高の結果を引き出す質問力』(2016)

・頭がいい人ほど質問する。「これが分からない」と言えてしまう。
・いい質問は、自分だけでなく、周りの人をも変化させる力を持つ。

・いい質問は、自分の感情を常にメタ認知していないとできない。
・感情力、メタ認知力、論理力。これがいい質問を生む「3つのステップ」

・「欠点は長所と一体となっている」というのが、脳科学の常識。

・自分とは違う存在がいること。
・どっしりと中心を外さない安定した人間。

・自由に世界を探索するためには「これがあれば自分は大丈夫」という安全基地が必要。

・いい質問をするためのキーワード。時間、目的、手段。

・気になる言葉、拒否したくなる言葉。判断を停止してずっと覚えておく努力。

・本当に人生に困ったときは、芸術に触れる。

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『こころと脳の対話』茂木健一郎・河合隼雄(2008)

・全体をアプリシエイト(味わう)することが大事であって、インタープリット(解釈)する必要はない。

・寝たときに調整。夢を見るということ自体がすごい大事。生きていくために必要。
・脳科学ではいま、夢というのは「記憶の整理」だと考えている。

・日本のモデルは「中空均衡」 欧米は「中心統合」
・矛盾を抱えながらいかに生きるか。

・人間はぎりぎりのところになるとみんな同じ。

・逃げずにまっすぐ聞く。
・自分で考えると、絶対堂々めぐりする。ところが生きている人間が正面から聞くと、堂々めぐりが止まる。
・「中心をはずさずに」そこにいる。それができれば、その人は治る。
・そおっと聞いてないとダメ。

・近代科学は「分ける」ことから始まっている。

○積読になってた河合先生の『昔話の深層』を読んでみよう!

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