第6回ときがわ自然塾「政治記者 鮫島浩さんの講演会」を開催しました。

ときがわカンパニー代表の関根です。 2021年8月7日(土)16時~18時、第6回「ときがわ自然塾」を、トカイナカハウス神山さんとの共催で、開催しました。

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今回は、元朝日新聞 政治記者の鮫島浩さんの講演会です。

トカイナカハウス神山さんの挨拶からスタート!(私は、オンラインを担当)

差しさわり無いと思われる範囲で、どんなお話だったのかを共有します。

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・映画「パンケーキを毒見する」に出ている。
 https://www.pancake-movie.com/
・この映画も出足好調。政治への関心が高まっている。
・コロナで、政治を自分ごとに。

・菅総理に注目が集まっている。何を言っているか分からない人。

・「新聞記者」(望月記者をベースに)という映画をプロデュースした河村さんが、菅さん側から見た映像が「パンケーキ」

・今日のテーマ:政治報道とは何をやっているのか?

・政治不信の大半は、政治報道不信。
・政治報道が機能していないから、政治腐敗しているのでは。

・政治報道は、広い意味では、ゾーンディフェンス。
・総理番は、3人がついて、24時間見張る。

・重要なポジションの政治家には、一人、番記者がつく。
・番記者が記事を書くわけではない。
・一人しか見てないから、全体像が見えない。

・新聞社、TV、時事等、15人ぐらいが、一人の政治家について回る

・2003年から、菅さんを担当。
・「きりたんぽ鍋」の会をやっていた。=オフレコ懇談会
・パンケーキを食べながら、オフレコ取材。

・1対一で、サシで、取材ができると強い。そうなるためには、15人中1位にならないと。

・NHKは、政治家一人をずっと担当。その政治家が出世すれば、その人もNHKで出世する。ただ1年で変わる。

・自分の電話に出てくれると強い。
・民主党の菅総理とは、鮫島さんは、そういう関係にあった。

・一蓮托生の関係の中で、番記者は、その政治家を批判できるのか?

・望月さんは、菅さんに嫌われていた。そこに加担すると、番記者も、菅さんに嫌われる。それは困る。

・有利な報道をするよう、政治家は働きかけてくる。

・現場の記者は、ひたすらデータを上げる。
・そのデータを基に、キャップが記事を書く。

・一人では書けないので、チーム取材になる。
・政治は幅が広く、動きも早い為。

・朝日新聞は比較的まし。NHKや読売新聞と比べると、担当をぐるぐる変えていた。
・安倍総理は長かったので、担当が長期となった。

・安倍さんは、敵だと思ったら引き込まない。内向きのコアメンバーがずっといる。

・(鮫島さんは)担当政治家が変わっていったので、相対的に見ることはできた。

・番記者制度が、今の政治報道を支えている。
・この制度がある限り、批判的報道は難しい。
・番記者制度が、政治報道をゆがめている。

・政治家に出世してほしいから、番記者は悪口が言えない。
・フリーになると、気兼ねせず、悪口を言える。

・人間が二人いると「政局」が発生する。ちょっと無視するとか。

・社会部は、警察、検察を担当しているから、悪口を書かない。

・安倍政権が長期化したために、官邸の力が強くなり、バランスが崩れ、記者がペコペコするようになった。

・長期政権のこわさ。政権交代があれば、健全になる。

・報道の自由度が下がっていった。韓国より、批判が出来ない社会に変わってしまった。

・新聞しかない時代は、中立、客観が求められた。その時に、番記者制度ができた。
・「特オチ」を避けたい。朝日新聞しか読んでない読者を想定。
・「落としちゃいけない」という減点主義。

・デジタル時代、ネットで、多くの情報が発信されている。
・新聞も「全部、載せなくてよい」と開き直ればよい。

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●質疑応答

遠山さん:新聞社も踏み出すのに勇気がいるのでは?

鮫島さん:記者クラブ撤退を、朝日新聞時代に提案した。

・調査報道部にもいた。埋もれているネタを掘り起こす。そういう記者は自由になると喜ぶ。

・ほとんどの記者は、警察を最初に担当する。
・やることが決まっていて、ノルマもある。

・記者クラブによって、国家権力は、情報をコントロールできる。
・皆が同じ記事を書いているのは、情報統制。
・与えられたものをこなす状態。

林さん:政治に気を使ってしまっているのは世間(ネットの世界?)では気づいてしまっていると思いますが、その上で新聞の売り上げ回復はあると思いますか。

鮫島さん:新聞の売り上げ回復は無い。

・新聞は日々のニュース。これは紙には合わない。
・本を始めとする紙は残るが、新聞は難しい。
・ジャーナリズムは残る。

Okさん:鮫島さんは、比較的若く、フリーのジャーナリストになった。記者さんの今後は?

鮫島さん:朝日新聞の早期退職制度。申し込みが殆ど無い。ジャーナリストの前に、会社員。

・日本は、組織人を優遇している。会社の庇護の元にいた方が良いという状態。

・ジャーナリズムという仕事と、会社員という仕事は、本質的に相容れないのでは。
・ジャーナリストは、権力と闘う、民衆の代表だったが、今は、エリート志向。

・優秀より、想い。普通の感覚でよい。
・記者は、嫌われる才能が必要。

Mさん:フリーになられると、いわゆる政治家への「密着」取材はしずらいと思うのですが、手に入る情報の「質」「確度」はどう担保されているのでしょうか?

鮫島さん:密着取材は必要なのか?政治家はうそをつく。それを見抜くのが、記者の仕事。

・記者と話すオフレコ取材は、ウソだらけ。
・オンレコ(記者会見)の方が信用おける。「嘘ついたろ」と批判される。
・「うそを見抜く力」が必要。

神山さん:新聞社による色は?

鮫島さん:読者によって色がつく。

・朝日新聞は、批判しているようで、エリート志向で、ずるい。

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●後半:総選挙に向けて

・日程が大事

・9月30日 自民党総裁選
・10月21日 衆議院議員選

・9月に衆議院を解散し、総選挙を考えていた。

・オリンピックも、菅さん支持につながらなかった。
・解散を先送りしようという雰囲気になっている。

・コロナが支持率を更に下げている。
・11月28日まで、解散総選挙を伸ばせば、少しでも支持率が回復するのでは。

・最大のキーパーソンは、安倍さん。
・最大派閥を率いている。
・安倍さん、麻生さんで、4割。

・安倍さんは、総理3回目をやりたがっている。

・安倍さんは、菅さんを嫌っているが、菅さんが続いた方がまし。
・新しいスターが出るのが怖い。
・不人気の菅さんが続いた方が、安倍さん復権のチャンスがある。

・菅さんが追い込まれている。
・総理は孤独。

・菅さんは、影の人。トップに立ったことが無い。
・麻生さん「総理は、どす黒いほど、孤独」

・8月10日 高市早苗さんが、総裁選に出ることを宣言。

・野党の支持も上がらない。

・鍵を握るのは、投票率。

・東京都議会選は、自民党の敗戦ではない。
・投票率は、42%だった。前回は51%以上。
・これは、自民党逃げ切りパターン。

・右(保守)が3割。左(リベラル)が2割。残り5割は、無関心。
・50%の投票率だと、右が勝つ。

・2009年は、68%。民主党が勝った年。
・有権者が、2割いっただけで、政権がひっくり返った。
・投票率が上がるほど、今の政治に不満な人は、野党に入れる。

・50%の投票率なら、3:2で、自民党が勝つ。

・野党の対立候補が立ってない。

・菅さんが変わると、枝野さんも変わるかも。
・そういう大混乱状態に陥った方が、皆の関心が高まり、投票率が7割を超えるか。

Okさん:安倍さんが、総裁選に立つ?

鮫島さん:安倍さんは、ニューヒーローを拒む。

・河野、小泉を批判する。安倍さんへの忖度。

・安倍さんの復権に反対しているが、安倍さんは枯れていない。
・安倍政権は居心地が良かった。

・野党の中に、リーダーが生まれれば。

原さん:横浜市長選の結果が、政局全体に影響するのでは?

鮫島さん:小此木さんが負けたら、菅さんの求心力が弱まる。

Mさん:候補者に対して、「何となくこの人、信用できない」という気持ちの持っていき場に困っているんですが、このモヤモヤ、どうすりゃいいんでしょうか?鮫島さん、ほんとのところを教えてください!

鮫島さん:政治家にいい人はいない。ろくでもなくなってくる。権力闘争で、そうなっていく。

・人となりを信用しない。性悪説。

・その政治家を利用して、社会全体を良くする。
・変なことをしないよう縛っていく。公約させて、広める。

・政治家はうそつき。
・「悪い人」という前提で、縛る。

・欧米では誰も、政治家を信用してない。
・法律や制度で縛っていく。

Ogさん:立憲の様子は?

鮫島さん:枝野さんは頭が良すぎて聡い。

・枝野さんは、政権を取ろうとする不退転の覚悟がない。
・山本太郎を排除しようとした。これが、枝野さんの器の小ささ。

参考:鮫島さんの記事

政治への怒りは投票行動に結びつくか。自民分裂・大混戦の横浜市長選、最大の焦点は投票率だ!

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18時半、懇親会スタート!

小川町で、8月末ごろに、洋風レストランをオープンされる新島貴行さん(小川高校卒、元ロンドン日本大使館料理人)が、料理を作ってくださいました。

ときがわ材のプレートにのった美味しい前菜。

小川町の鬼瓦プレートにのった柔らか鶏肉。

高柳製麺さんのうどんで、洋風すったて(川島町)

メインディッシュのトロトロお肉。

鮫島さんとのお話が、更に盛り上がりました。

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私個人としては、

・投票率が、50%以上、70%に向かえば、政権交代が起こり得る。

・政治家を利用して、世の中を良くする。そのためには、彼らに約束をさせる。

・約束を履行しない時は「嘘つき」と見なし、選挙で落とす。

ということで、改めて、選挙参加、投票率の重要性を感じました。

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ご参加くださった皆さん、神山さん、新島さん、そして、鮫島さん、ありがとうございました。

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参加された林さんの記事

ときがわ自然塾第6回】「政治記者はきちんと仕事をしているのか?』に参加してきました。

 

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