ときがわカンパニー代表の関根です。
2018年7月13日(金)ラーンネクスト栗原さんが書いてくれたブログ「ときがわカンパニー出会いから一年での気付き。」を読んで、改めてミニ起業家育成に必要な「支援」とは何か?を考えてみました。
栗原さん曰く、ときがわカンパニーとの出会いを通じて
1)たくさんの経験、たくさんの人々との関わり
2)精神支援
を得られたそうです。
ただ、1)については、「研修業界で、研修講師として、育てる」からこそ提供できたことかもしれません。
彼に最初に言ったように「B2Cは教えられないけど、B2B(自分のやっている研修講師の仕事)なら教えてあげられるよ。」というのは、まさにその通りの意味で、「土地勘」も「実績」もある「研修業界」だからこそ、たくさんの「経験」と「人々」との関わりを作ることができました。
ところが、自分の知らない業界の場合、そういった「経験」や「人々」との関わりを作ることは難しいでしょう。
例えば、比企起業塾一期生のように「農業」「不動産業」「アロマ」「デザイン」の業界は、私には土地勘が無く、研修業界のように「経験」や「人々」との関わりを作ることはできません。
では、そういった業界で起業している、あるいは起業しようとしている人たちに、私たちができる「支援」は何なのでしょうか?
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それが、栗原さんがあげてくれた「精神支援」なのではと思っています。
「精神支援」は、立教大学 経営学部の中原教授が『職場学習論』(2010)の中で提示したものです。
「精神的な安らぎを与えてくれる」「心の支えになってくれる」「プライベートな相談にのってくれる」等、他者から与えられる精神的安息の支援が、「精神支援」と呼ばれます。
「精神支援」以外に、職場で得られる他者からの支援には、2つあります。それが「業務支援」と「内省支援」です。
「業務支援」は「仕事に必要な情報を提供してくれる」「仕事の相談に乗ってくれる」等、業務を遂行する上で必要な支援をさします。
「内省支援」は「自分自身を振り返る機会を与えてくれる」「自分について客観的な意見を言ってくれる」等、業務の経験や自分自身のあり方を客観的にふり返る機会を他者から与えられることを指します。
これら3つの支援は、それぞれ提供してくれる他者が違うことが、中原先生の実証研究により明らかになりました。
(上記図は『経営学習論』(中原2012)第5章「職場学習」p135より)
・「精神支援」は、上司のみが提供。
・「業務支援」は、同僚・同期のみが提供。
・「内省支援」は、上司、上位者、同僚・同期が提供。
起業家に、上司はいませんし、私は彼らの上司ではありませんが、ちょっと先を行っている先輩として「精神支援」を提供できているなら嬉しいことです。
栗原さんは、ブログに、次のように書いてくれました。
起業すると孤独である。今までも様々な経営者の方々にお世話になってきたが、私が住む埼玉県比企郡の経営者で相談できたり、アドバイスをいただける方は当時いなかった。そんな中、成長職場の提供や、仕事以外の家族も含めた精神支援はとても安心できました。
本人に改めて訊いてみると「仕事以外、家族のことも含めて相談できるのがありがたい。見てくれているという感じがする。」という嬉しい言葉をもらいました。(ありがとう!)
そうだとすれば、私達ときがわカンパニーが、ミニ起業家に提供している支援は「精神支援」であるのかもしれません。
比企起業塾1期生の尾上さん(株)リリース代表取締役)も「比企起業塾」活動報告会で、次のような発表をしてくれています。
戦術・戦略を学び、仲間がいるのに押し寄せる不安、動いて、戦略を立てて関根さんと面談すること。比企起業塾でメンバーの皆さんに会って一緒に学ぶことで心のバランスをとることができました。
比企起業塾がなかったら、良い出会いもなく、時間だけが過ぎ、形にならなかったかもしれません。空き家対策は地道な作業で時間がかかるため、長いトンネルの中へ入るような先の見えないものがありましたが、計画的に進むことができ近道ができました。
心の支えをありがとう。
「心の支え」という言葉からも、尾上さんにとって「精神支援」が大事だったようです。
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もうひとつ、私たちが提供しているのは「内省支援」ではないかと思っています。それぞれのミニ起業家が属す業界知識が無い私達では、専門的な「業務支援」はできません。
にも関わらず、私達が実施している「比企起業塾」や「ランチェスター戦略セミナー」「ワンコイン読書会」「関根との起業相談」に参加してくれるミニ起業家達は、そこに何を期待しているのでしょうか。
それが「内省支援」つまり、自身を省みる機会の提供を、期待しているのではないかと思います。
ミニ起業家の多くは、孤独です。周囲からは「そんなの上手くいかないからやめておきなさいよ」等、否定的な言葉をもらい、気持ちがなえる時もあります。(参考:起業を阻むじゃまもの)
そんな時「自分のやっていることは、はたして正しいのか?」「このまま進んでいって大丈夫なのか?」と、不安にかられることがあります。
そんな中、いったん立ち止まって、客観的に自分の歩みとこれからを考える「内省」の機会として、私達ときがわカンパニーのセミナー等を活用してくれているのではと思っています。
いわば「PDCA」で言うところの「Check」と「Action」を考える機会です。
実際に「ランチェスター戦略セミナー」に参加してくれたミニ起業家のSさんは、ブログの中で次のように言ってくれています。
このセミナーで、一番の収穫。1つの課題を与えられたこと。「ブログをはじめること。毎日続けること。」きっちり、いつから開始するかまで約束しました。これが、このブログ誕生の瞬間でした。
セミナーに参加したことで、次の「Action」が明確になったということで、こちらとしても嬉しいです。
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やはり私たちが提供しているのは「内省支援」「精神支援」の2つであり、PDCAの「Check」と「Action」の機会を作っていると言えるでしょう。
他の起業支援機関が主に行っている「経営計画の策定」や「ビジネスプランコンテストの実施」等は、PDCAの「Plan」部分の支援が中心です。
それに対して、私達ときがわカンパニーが、ミニ起業家に行う支援は「Check」「Action」の明確化を含む「内省支援」「精神支援」です。
そしてこれこそが、小さなエリア(埼玉県比企郡)に絞り、「狭く・深く・濃く」関わっていく、ときがわカンパニーにしかできない起業支援だと思っています。
改めて、自分達がすべきことが明確になりました。
考える機会を作ってくれたラーンネクストの栗原さん、本屋開業を目指すSさんを始めとするミニ起業家の皆さん、ありがとうございました。これからも共に走っていきましょう!
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・・・と、このブログを書いている途中、比企起業塾一期生の工藤さんから、嬉しいメールを頂きました。ありがとうございます。
栗原さんのブログを見て、私もときがわカンパニーに初めて行ってから1年経って、考え方も行動も変われた気がして本当に感謝しています!本当にありがとうございます!これからも頑張ります。
工藤さんの頑張りの賜物かと思いますが、その頑張りを続ける一助に、私たちがなれているのであれば嬉しいですね。
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