ときがわカンパニー代表の関根です。
昨日(2019年6月1日)の日本経済新聞(第6面)に、逆さになった広告記事「#採用をやめよう 高スキル人材に、即発注。 Lancers」が出てました。
・この世界には、能力を眠らせたまま活躍できていない人材が、星の数ほどいる。
・フリーランスでも、正社員に負けじと、出会った企業のビジネスに本気で貢献したい、と燃える人が多くいる。
・彼ら彼女らの力を活かすことこそが日本の未来をつくると信じてやみません。
というメッセージが書かれています。
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更に、誌面をめくると、第8面には「オピニオン:フリーランスが崩す岩盤」という記事があり、日経新聞経済部長 藤井一郎氏の意見記事が出ています。
・(フリーランスが)なぜ増えないのか。ランサーズがフリーランスとして働く人々に課題を尋ねると、最も多かった答えは「公正な収入」(40%)で、「(通常の)雇用と同程度の保障制度」(27%)が続いた。
・公正取引委員会は「優越的地位の乱用」を封じる独占禁止法を活用し、フリーランスの権利を守る具体策を検討し始めた。公取委が実施したアンケートには次のような声が寄せられている。
-「正社員と同様にみなしているという理由であれもこれもと頼まれる。関係が悪くなるのでやむなく受け入れている(ライターなど)」
-「はじめに提示された以上の費用は、こちらに負担があっても、正しく請求できる方が少ない(イラストレーターなど)」
-「はじめは少ない数の依頼しか出さないが、直接の対話の中でドンドン増やしていき、報酬は増やさない(技術開発関連)」
・明文化されない取り決めの押しつけや使い捨てにおびえる人々の生々しい声が並ぶ。
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これらを読んでいて、思い出したのが、私の起業メンター 岡村さんが先日(5月28日)「相談会議」の中でおっしゃった「中小零細企業は、買い叩かれやすい。適正価格の2割増しを目指すべき」というお言葉でした。
では、弱い中小零細企業・個人事業主の立場で、どうすれば「買い叩かれず」「使い捨てされず」フリーランスとして、大企業と対等に仕事をしていけるのでしょうか?
あくまで、企業内研修市場での講師業・コンサルタント業という狭い範囲の話ですが、私がフリーランスとして独立して、約15年間、意識してやってきたことを「攻め」と「守り」という2つの観点から、書いておきます。
(お取引先は、ヤマト運輸様、ニコン様、AGC様、日産自動車様等の一部上場企業、約20社様です。10年以上継続してお取引頂いている会社様も多くあります。)
フリーランスの方々にとって、何らかのヒントになれば幸いです。
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1.攻め
1)複数顧客をつくる
私達ときがわカンパニーでは、フリーランスを「ミニ起業家」と呼び、その定義を「複数顧客の創造ができる人」としています。
「買い叩かれ」「使い捨て」にされるのを恐れるのは、お客様が、1社しか無いからです。1社しか無ければ、自分の収入の全てをそこに頼らざるを得なくなるので、そのお客様の言う事を聞かざるを得なくなるでしょう。1社依存状態では、フリーランスというより、サラリーマンと変わらなくなります。
複数のお客様をつくることができれば、自分がお客様を選べる立場になります。買い叩きや使い捨てしようとするお客様に対しては、「あ、では結構です。」とお断りをすることができるようになるのです。
フリーランスとして、組織から独立してやっていくために必要なのは、複数顧客をつくる力なのです。
2)お問い合わせを増やす(マーケティング)
複数顧客をつくる際に必要になるのが「お問い合わせを増やす」ことです。ホームページを通じて、新規のお客様候補からお問い合わせを頂いたり、これまでお付き合いのある方から紹介を頂いたりといった形で、「見込み客」を作っていく必要があります。
この「お問い合わせ」が、毎年ある程度無いと、既存のお客様への依存度が高まってしまいます。経験則ですが、年間1~2割(2~4社)の離脱(例:今年は研修を実施したが、次年度はやらない)がありますので、新規のお客様を年間3社は作れるよう働きかけを行っています。
その為にも、今目の前の仕事には全力投球しながら、次のお客様を見つけていくマーケティング活動(主には、ネットでの情報発信や専門誌への寄稿等)を行う必要があるのです。
3)専門家としての評判を得る(ブランディング)
お問い合わせを増やすためには、「~と言えば、○○さん」と頭に浮かぶような専門家になる必要があります。ある特定領域で、第一人者と呼ばれるような評判を作っていくのです。そのためにも、商業出版で書籍を出したり、その領域で一流と見られている人達のコミュニティに参加したりして、自らの専門性に磨きをかけて行きます。
Googleで「キーワード検索」されるのではなく、名前や屋号で「指名検索」されるような位置づけを目指すのです。例えば、私の場合ですと「本を読んだから」「~さんに紹介されたから」といった形で、弊社を指名検索された後、お問い合わせを下さいます。狭い領域で、No.1を目指すことで、指名検索を勝ち取っていくのです。
4)直接営業を行う(セールス)
私の場合、講師として、研修会社さんに登録して、仕事を振ってもらうという「間接営業」は行っていません。独立当初は、不安もあり、複数社に登録していた時期もありましたが、独立して1年ぐらいたった頃から、研修会社さんへの登録をやめ「直接営業」1本に絞るようにしました。
間接営業の場合「講師料の値上げが難しい」「エンドユーザーが見えにくい」「研修候補日をおさえられ、時間のコントロールがしづらい」ためでした。「時間を自由にコントロールしたい」と言うのが、私がフリーランスとして独立した大きな理由であったので、それが難しくなる間接営業は早めに止めることにしました。更に、間接営業で、研修に伺う先が増えれば増えるほど、自分の直接営業のお客さま先が減っていくからです。
直接営業においても、お問い合わせを頂いてから、すぐお会いするというよりも、その前のメールや電話のやりとりを通じて、会って話を進めていくだけの価値があるかの判断をしています。(それは、お客様から見ても同じでしょう。)
特に「価格」と「仕事の進め方」については、お会いする前の段階である程度提示し、その反応を見て、次のステップに進むかを見極めます。その返信が無かったり、「え、それなら・・・」という反応であれば、その先でお会いしても話は進みづらいので、お断りをしています。
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2.守り
1)記録に残す
毎回の打ち合わせ内容を、記録に残し、お客様とメール等で共有する事で、後から「こんなはずでは」「ここまでやる予定は無かったのに」という状況になることを防ぎます。こういう行動も素早く行う事で、お客様から一目置かれるようになり、信用も増していきます。
2)見積書を出す
ある程度の金額的合意があったとしても、必ず書面で「お見積書」を出すようにしています。このお見積書内に、様々な条件(仕事の範囲、振込日等)を入れることができるからです。お見積書があると、請求書もその内容に基づいて、堂々と出しやすくなります。お見積書が無いと「あれって、こういうことで良かったんでしたっけ?」等、ご請求書を出す段階で、お客様とのやり取りが発生してしまうのです。
3)契約書を交わす
特に、大企業で多いのですが、契約書(業務委託、個人情報保護等)の取り交わしを求められることがります。この時に、自分側の契約書ひな形を持っておき、まずはそのひな形を先方に提示します。すると「小さな会社なのに、しっかりしているな」と見られることが多いです。
そうは言っても、大企業は、法務部門等の専門部署がありますので、その会社様の契約書ひな形での締結を求められるようになります。この契約書のやり取りで頼りになるのが、顧問弁護士です。
4)顧問弁護士を持つ
私は独立当初のお金が無かった時から、月額の顧問料を払い、顧問弁護士さん(島村法律会計事務所)とお付き合いしています。今では15年の付き合いになるので、こちらがどういうお客様と、どんなやりとりをしているのかを把握してくれているので、非常にスムーズに物事が進みます。
契約書の取り交わしや面倒な案件が出てきた時は、すぐに顧問弁護士さんに相談し、対応してもらっています。「餅は餅屋」ですから、自分の労力を余計な所に取られないよう、守りにもお金はかけた方が良いと思います。特に、大企業と付き合うのであれば、顧問弁護士がいると、本当に楽です。
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以上、「攻め」と「守り」の観点から、中小零細企業、個人事業主のフリーランスとして「買い叩かれず」「使い捨てにされない」為に、どうしたらよいのかを、私の経験則ですが、書いてみました。何かの参考になりましたら幸いです。
参考:「小規模企業白書 2019」第2部 第2章「フリーランス・副業による起業」から
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