ときがわカンパニーインバウンド事業部のカワサキです。
2016年6月18日(土)の「第3回 A-WASS 循環と共生の森づくり in ときがわ」の1日目をレポートします!
A-WASS(エイワス)は「木と建築で創造する共生社会実践研究会」の略称で、正式名称は「Action-oriented Study Group on Wood and Architecture for Symbiosis Society Creation」であり、森と建築が好きな人たちが集まる研究会です。
HPには以下のような研究会の趣旨が掲げられています。
A-WASSは森と里とまちを結ぶ持続可能な循環型地域づくりに向け、産・学・官・民の幅広い関係者の参画のもと、木で建築をつくるための課題を明らかにし、持続可能な森林資源の活用を通じ、地域に根差す建築・産業・文化の継承、発展を図り、また、木の建築と木質エネルギーを結びつけ、自立的な循環型地域づくりを進めることにより、共生社会の理念の実現に向けて活動することを目的とした研究会です。
1日目は参加者30人ほどに対して女子が私一人(!)だったので、次回以降は林業女子にも情報が行き届いたらいいな、と思っています。
さて、6月18日(土)はどんな1日になったのでしょうか?
スケジュールは、朝の10:30に武蔵嵐山に集合し、萩ヶ丘小学校、旧大椚第一小学校に行き、地元の方の話を聞き、17:00に終了、ときがわ町役場にて懇親会、町田屋旅館に宿泊、です。では、行ってみましょう!
都内から朝10時台にときがわ町に着くには、朝7時に起き、8時台の電車に乗る必要がありますね。大学生10名ほどが眠い目をこすりながらA-WASSの貸し切りバスに乗り込みます。
ときがわ方式の萩ヶ丘小学校に到着!
萩ヶ丘小学校は築40年以上の校舎に内装木質化を施した現役の小学校で、埼玉モダン建築にも選ばれています。
ときがわ町町長の関口定男町長より開会の辞。
田中恵子萩ヶ丘小学校校長の案内で校舎を見学します。これは子供が手すりをすべり台にするのを防ぐための工夫です。
体育館は内装木質化と、壁と天井をクロスした金属素材(ブレース)で補強し、耐震の数値(Is値)をクリアしました。
建て直すと3,4億円ほどかかりますが、1億円程度で体育館を維持することが出来ますし、床が古くなった場合、2ミリの研磨で床材を削れば、新品同様になります。コストは100万円ほどなので、張り替えるより格段に安く、安全です。
どんなに良い木材を使用しても、のりや塗料が安全な物でなければ効果が無いため、ときがわ町では様々な基準をクリアしたドイツ製の安全な塗料を使用しています。
萩ヶ丘小学校は2016年8月の「林野庁主催、学校の森、子供サミット夏大会」の発表学校に選ばれており、町を挙げて応援しています。
内装木質化だけでなく、体育教育の大東文化大学との連携や、
地域資源を生かし、林業、農業と関連づけた特色のある教育を行っています。
校舎には地元慈光寺の「国宝・法華経一品経」のレプリカが飾ってあります。
このあと、教室に帰ると、地元食材の素敵なランチがありました。
地元野菜を使った「かてめし」と呼ばれるちらし寿司と、
きゃらぶき、タケノコの煮付け、キュウリのぬか漬け、揚げ味噌和え、柏餅、など、
7名ほどのご婦人が用意して下さったとのこと。美味しいランチを有難うございます!
午後からは3名の講師の講義です!
1人目の講師:田中恵子校長
萩ヶ丘小学校で通算17年勤務されている情熱的な校長先生です。今回は萩ヶ丘小学校の教育について講義されました。
ときがわ町の林業との関わりを生かした「木育(もくいく)」に力を入れており、学童一人一人が「マイツリー」をもち、聴診器で木が水を吸う音を聞いたり、メジャーで木の生育状況を計測したりしています。また、学年に合わせて炭焼き体験、植樹、地域の伝統芸能の学習などを行っています。
写真は小学校で使用されている机について説明しているところで、「手作りで軽くて画用紙で絵を描くのに良いサイズ」だそうです。
2人目の講師:山口悦男さん(東松山市中里建設勤務)
建設会社の現場監督をしており、萩ヶ丘小学校の内装木質化改築事業についての講義をされました。当時同じ会社で働いておられた田中進さん(現在ときがわ木材有限会社代表)の地域の木材供給の話もあり、盛り上がりました。
田中「地域の木材を供給するということは、設計書の寸法に合う木材を伐採し、乾燥して、工期に合わせて納入する訳ですが、学校は巨大な建築なので、長材(ながざい)が必要で、450ミリのベイマツなど何本も切り、天然乾燥させるのは大変でした。今でも校庭にフォークリフトで材を並べた時の光景を、鮮明に覚えています。監督は非常に厳しい方で、こんな材じゃだめだ、などと言われながらも、結果的にすべて使って頂きまして、良い学校が出来たんじゃないかと思います。」
3人目の講師:岩田泰治さん(写真左)(写真は大野特産物販売所にて)
岩田さんは大野出身で、教員を退職されて現在は地域の歴史を研究しております。大野地区の歴史について講義して頂きました。
岩田「生まれたときから「総領(惣領)だ」といわれていました。大学行って、大学院に行って、博士になるときに、親父にうちに帰ってこいと言われ、家に帰りました。教員として36年勤め上げ、今は身体を動かすことをしたいと思って、草刈りをしたり、発掘作業をしたりしています。」
岩田「大野は山が宝だなって思うんです。木のむらキャンプ場ではBBQなどもできて、夏は沢山の人が来ます。大野特産物販売所では地元の取った物を販売しています。最近では赤字になっちゃったので、存続のために何かを、と考えているところです。大椚第一小学校では昔は運動会がお祭りのようで、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん家族総出で参加していました。8月の第3日曜日、夏の一番暑い時にはささら獅子舞をやります。刀を口にくわえて禰宜を真ん中にして、取り合うんです。今年もやりますよ。」
他にも、江戸時代には炭焼き場として天領(江戸の直轄地)だった歴史や、堂平天文台からはスカイツリーが見えることや、旧大椚第一小学校では「Artokigawa展」を2回開催し、各回5000人程の動員があったことを講義していただきました。
旧大椚第一小学校の視察と、大野地区の散策を行いました。
旧大椚第一小は白亜の校舎でした。
2014年、2015年のArtokigawa展で使うまでは10年程活用されていませんでした。
音楽室だった教室です。内装改修工事はしておらず、当時のままです。
2016年に取り壊しが決まっており、後には使いやすい集会所の建設が予定されています。この場では「何かに活用できないのか」「木材だけでも流用できないか」等の議論が出ましたが、やはり工期中に必要な木だけを取り出したりする工数を考えると現実的には厳しそうです。「廃校」は魅力的ですが、地域の中心となる場所だけに、再活用は慎重になりますね。
大野地区の散策では神社の「力石」に若者たちが湧きました。「持ち上げて境内を一周する」という指示が書いてありますが、持ち上げることも出来ず、全員ギブアップ!次回に猛者が現れるのを期待します。
懇親会には関口町長や、翌日の林業体験の講師をして下さる林業従事者の方々が参加して下さり、大いに盛り上がりました。
〆のうどんは名物の冷やしうどん!地元のミョウガとシソがたっぷりで翌日も頑張れそうです!
田中校長、本日は有難うございました!
以上、一日目のレポートでした!
A-WASSの皆様、大学生の皆様、楽しい時間を有難うございます。
また森で会いましょう!
川崎愛美
投稿者プロフィール
- 世界30カ国旅をして海外旅行の添乗員になった直後、山暮らしがしたくて愛知県へ移住し、鹿と戯れていました。現在は都内でライターをしています。スキル;モデル、フリーライター、整体師、シナリオ書き、野菜ソムリエ、慶應義塾大学通信生。関心事/田舎暮らし、野菜ソムリエ、整体、世界一周、語学、旅、本、書、女性、健康、美容、婚活など
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